グアーガムの原料となるマメ科グアーはインドのパキスタンで栽培されています。
グアーガムはグアーの胚乳部にある食物繊維であり、主にガラクトマンナンを含みます。
このガラクトマンナンを酵素によって加水分解し、低分子化することによってグアーガムが作られます。
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グアーガムの働き
グアーガムは水溶性食物繊維であることから、血糖値の上昇抑制効果、コレステロールや中性脂肪の吸収抑制、整腸作用があります。
食品添加物としても使用され、高齢者の嚥下食に用いられるゲル化剤、増粘剤、安定剤、糊料として用いられています。
この場合「増粘多糖類」と成分表示されている場合があります。
糖尿病、肥満予防
グアーガムには食後血糖値の上昇を抑制する働きがあります。
食事をすると一旦血糖値が上がります。食後30~1時間位経つと食後血糖値がピークとなり、その後時間が経つにつれて下がっていきます。
グアーガムにはピーク時の食後血糖値の上昇を抑える働きがある為、血糖値の乱高下を防ぎます。
血糖値の上昇を抑えることから、膵臓からのインスリン分泌を抑えられる為、膵臓のホルモン分泌機能を維持することが出来ます。
このようなことから、糖尿病予防効果が期待されます。
インスリンは血糖値を下げる働きがある一方、分泌しすぎると肥満を招いてしまいます。
食後血糖上昇を抑えることによってインスリン分泌も抑えることかが肥満予防にも繋がります。
脂質異常症、動脈硬化予防
グアーガムの水溶性食物繊維には血液中の余分な中性脂肪やLDLコレステロールを吸着させて体外に排泄する働きがあります。
この為、脂質異常症や動脈硬化の予防に効果的であることが言えます。
前述の糖尿病や肥満の予防に加え、メタボ対策に有効的であることが言えるのです。
腸内環境改善
グアーガムには整腸作用があります。
便秘や下痢等の排便コントロール作用は不溶性食物繊維だけではなく、水溶性食物繊維にも効果があります。
発酵食品等の乳酸菌を含むプロバイオティクスと一緒に摂取すると、腸内環境改善を図ることが出来、便秘や下痢の改善に加え、免疫力向上、肥満体質の改善、その他脳腸相関に関わる機能改善に期待があります。
特に介護度が重度な高齢者においては排泄機能の問題が深刻です。
便秘には弛緩性便秘、痙攣性便秘、腸調整便秘等幾つか種類がありますが、高齢者においては消化管の蠕動が弱くなる弛緩性便秘が多く見られます。
高齢者の食欲低下の原因には様々なものがありますが、便秘も原因の一つとなっています。
また、腸に宿便が溜まっていることによって消化管が圧迫されている為、食欲低下に加え、嘔吐や逆流をしやすくなります。
嘔吐や逆流によって吐物が誤って気管にしまうと、重症肺炎を起こしてしまうことさえあります。
便秘は健康な方にとっても高齢者にとってもデメリットばかりなのです。
特に胃瘻からの栄養管理を行う場合、下痢や便秘の問題が深刻となります。
その原因も経腸栄養剤によるものばかりではなく、薬剤によるもの、乳糖不耐症、腸炎等の疾病等様々な要因があります。
グアーガムは大腸での主なエネルギー源となる酪酸の産生に関与しております。
酪酸は短鎖脂肪酸で、大腸内のphを弱酸性にすることによって腸内有用菌が成育しやすくなります。
グアーガム(グアーガム加水分解物)の摂取によって便の水分量を調整し、腸内の短鎖脂肪酸を増やすことによって、排便コントロールがなされ、下痢や便秘が改善されると言われます。
グルタミンと摂ることによって更に整腸機能を高め、グアーガム分解物はグルタミンのサポートに役立てるといます。
更に腸内環境を整え、乳酸菌やビフィズス菌を増やし、クロストリジウム菌等の有害菌を減らす為、腸内環境が改善され、バクテリアルトランスロケーションの防止によって毒素が体内に侵入することを防止することに繋がります。
粘度調整
グアーガムは粘度があることから、高齢者の介護食品にも活用されています。
市販品としてはアイスクリームやドレッシング、菓子類、ソース等に粘度を安定させる目的で使用されています。
安全性は?
グアーガムの天然の食物繊維の為、安全性も高く、通常の食品から摂取する分には特に問題ないと言えるでしょう。
但し、グアーガムを摂取するには水分と一緒に摂る必要があり、粉末サプリメントで摂取した場合、水分摂取量が少ないと胃腸障害を起こす場合があります。
また、妊娠中の摂取に関しては十分な安全確認が取れていない為、妊娠中や授乳中の方は摂取を控えると良いでしょう。
この他に摂取を控えた方が良いケースとして、消化管に疾患がある場合や喘息が気になる場合があります。
ダイエットや便秘に良いからといってひたすらグアーガムばかり摂取していると、ビタミンやミネラルの吸収を妨げてしまいます。
グアーガムが入った商品を使いながら栄養改善を図る場合は、ビタミンやミネラルの吸収の観点から、モニタリングをした上で、栄養補給方法を必要に応じる必要があるでしょう。