記憶力、集中力アップの成分「クマリン」

クマリンは、中南米に育つマメ科のクマルであり、トンカとも言います。

1876年にウィリアム・パーキンがサリチルアルデヒドと無水酢酸からのパーキン反応により、クマリンの合成に成功し、香料などに利用されるようになりました。

日本では肝機能への安全性が定かでないため、香料としては認められず、食品への添加は禁止されています。





 

抗酸化物質のうち、フェノール系に分類

クマリンは、抗酸化物質のポリフェノールのうちフェノール酸系に分類されています。

フェノール酸はコーヒーに含まれるクロロゲン酸と同じのであり、香り成分となっています。

クマリンは特にセリ科、ミカン科、マメ科、キク科に多く含まれ、柑橘系やシナモンの香りを構成している成分の一つです。

また、桜の花びらの香り成分もクマリンによるものです。

クマリンは植物が生きている時はクマリン配糖体となっている為、香りを感ずることはないのです。

クマリン配糖体は干している間や塩漬けにした時にクマリンが生成され、独特の香りを感じるようになります。

 

クマリンの働き

クマリンの働きには次のものが挙げられます。

  • 抗酸化作用
  • 循環器疾患予防
  • 浮腫の予防
  • 殺菌作用
  • アルツハイマー型認知症の予防及び改善
  • エストロゲン用作用

 

抗酸化作用

クマリンはポリフェノールの一種であることから、抗酸化作用があります。

活性酸素を除去し、過酸化脂質の産生を抑制し、動脈硬化や心疾患等の生活習慣病の予防、及び癌予防、紫外線により肌のダメージから守るアンチエイジング効果に期待があります。

 

循環器疾患予防

クマリンには血行を良くする働きがあります。

血液を固まりにくくする作用がある為、脳梗塞や心筋梗塞の原因となるアテローム形成を予防します。

クマリンには抗酸化作用があることから、中性脂肪やLDLコレステロールの酸化を抑制する点においてもアテロームが形成されることを防ぎます。

 

浮腫予防

血行が良くなると血流改善が見られ、リンパ液の循環も良くなります。

この為、冷えや浮腫み改善効果があると言われています。

 

殺菌作用

クマリンの香り成分は、体内での細菌やウィルスの増殖や生育、侵入を防ぎます。

更に細菌を死滅させる効果も持っているのです。

 

アルツハイマー型認知症の予防及び改善効果

クマリンは、「NGF」という成分の生成を助ける働きがあります。

NGFとは、脳内の組織の中で神経組織の成長を助ける働きをする物質を言います。

また、それぞれの情報が保存されている神経細胞は、NGFが脳内に多い時、神経細胞同士の電気信号のやり取りが円滑に行われやすくなります。

NGFは近年の研究によって様々ことが判明しており、神経や認知症に関わる分野で注目を集めています。

クマリンは、脳の機能を正常に保ち、記憶力や集中力がアップし、アルツハイマー型認知症の予防や改善に役立っているのです。

 

エストロゲン様作用

クマリンは女性ホルモンの一種であるエストロゲンと似た働きも持っています。

若年層には不妊対策やバストアップ効果があり、中高年の場合には更年期作用の改善等、女性ホルモンのバランスが乱れることによる症状を緩和する効果、効能があると言われます。

 

注意点

クマリンを摂取する際には以下の点に注意します。

肝毒性、腎毒性

クマリンには肝毒性、腎毒性があるということです。

クマリンの長期間過剰摂取を続けると、肝機能や腎機能を弱めてしまうリスクがあります。

薬との相互作用

抗血栓薬の作用を弱めてしまう為、薬との相互作用に注意を払う必要があります。

光毒性

クマリンは紫外線を照射することで黄緑色の蛍光を発する特徴があります。また、光感作促進作用も持っており、紫外線に照射すると何も付けない状態より早く日焼けします。

日焼けにより、皮膚に痒みや紅斑、炎症をもたらし、メラニン色素の沈着を流されることからシミの原因となってしまいます。精油として使う場合は光毒性に注意が必要です。

 

まとめ

クマリンの働きについてまとめます。

  • 抗酸化作用
  • 循環器疾患予防
  • 浮腫の予防
  • 殺菌作用
  • アルツハイマー型認知症の予防及び改善
  • エストロゲン用作用

現在クマリンは食品に添加することが禁止されているため、滅多にお目にかからないですが、唯一摂れるのは桜の花びらの塩漬けです。

肝毒性や腎毒性が懸念されることから、摂る時は少量に留めておきましょう。

 
栄養相談、サポート詳細
 

関連記事

最近の記事

  1. 大豆の大量摂取が甲状腺に影響を及ぼす…ゴイトロゲンとは?

  2. 強い抗酸化作用が秘められる「チコリ酸」

  3. いくら食べても太らない…隠れ肥満とサルコペニアのリスクの低減を図るには?