とうもろこしは野菜類のイメージがあり食品成分表にも野菜類として掲載されています。
実際とうもろこしは穀類であり、栄養成分は糖質類が多く占めています。
とうもろこしの程良い甘さが身体や脳のエネルギー源となるのですが、とうもろこしのカロリーは100gあたり92kcalであり、砂糖を摂るよりも低カロリーで健康的に炭水化物の補給が出来るのです。
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とうもろこしの歴史
とうもろこしは熱帯アメリカを原生とするイネ科一年草で茎は高さ2m、単一で直立し、幅の広い葉を付けます。
紀元前5000年頃にはアメリカ大陸でとうもろこしの栽培が行われていたと言われています。
とうもろこしはマヤ神話には「ヤム・カァッシュ」、アステカ神話には「センテオトル」というとうもろこしの神様が存在することから、当時のアメリカではトウモロコシは重要な存在であったと考えられます。
とうもろこしは1492年にコロンブスがアメリカ大陸に到達した時にヨーロッパに持ち帰ったことによって広められたという説もありますが、12世紀にはインドで、13世紀にはスペインやポルトガルで栽培が始まっていた等様々な説があります。
とうもろこしの栄養
とうもろこしは野菜類のようですが、実際は穀類です。
とうもろこしに含まれる栄養成分は炭水化物をはじめ、蛋白質、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸、ビタミンE、カリウム、マグネシウム、鉄分、オレイン酸、リノール酸、ルテイン、ゼアキサンチン、食物繊維が含まれます。
とうもろこしには次のような健康効果に期待があります。
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三大栄養素の代謝
とうもろこしの程良い甘さが身体や脳のエネルギー源となるのですが、とうもろこしのカロリーは100gあたり92kcalであり、砂糖を摂るよりも低カロリーで健康的に炭水化物の補給が出来るのです。
とうもろこしにはビタミンB群、マグネシウムがが含まれる為、糖質や体脂肪がエネルギーとして利用されるのに役立っています。
これらの栄養素は解糖系やクエン酸回路においてエネルギー代謝に不可欠だからです。
ビタミンB1、マグネシウムは解糖系にて糖質がピルビン酸に変換する時の補酵素として利用されます。
ビタミンB1はピルビン酸がアセチルCoAに変換される時に必要となり、好気的条件下において次の段階に進みます。
アセチルCoAに変換後、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸が補酵素と利用され、エネルギーとして代謝されます。
このエネルギー代謝経路をサポートすることにとうもろこしは大きく寄与したいます。
摂取した糖質や脂質が運動によってエネルギーとして消費される為、運動効果と併せて脂肪燃焼効果も享受出来、エネルギーが効率良く使われることから疲労防止にも良いとされています。
とうもろこしにはビタミンB6も含まれているため、蛋白質の代謝にも関与しています。
脳のエネルギー源
ビタミンB1は主に炭水化物の代謝に関与することから、脳のエネルギー源となり、神経伝達物質を合成します。
精神不安定、運動機能低下、記憶力の低下を防ぐとともに、怒りや抑うつ状態等の症状を防ぎ、神経機能を良好に保つことに期待があります。
腸内環境改善
とうもろこしは食物繊維が豊富で不溶性食物繊維が特に豊富ですが、とうもろこしの外皮には水溶性食物繊維も含んでおり、マグネシウム、オレイン酸も含まれています。
とうもろこしの食物繊維はヘミセルロースであり、水分をしっかり摂ることによって不溶性食物繊維としての働きを発揮します。
不溶性食物繊維は腸の蠕動運動を促し排泄を促します。
不溶性食物繊維はプレバイオティクスとして善玉菌の餌となる為、腸内環境を整え、デトックス効果や体質改善効果が期待出来ます。
不溶性食物繊維には腸管からの糖や中性脂肪の吸収を妨げる働きもあります。
水溶性食物繊維は糖や中性脂肪の吸収を抑える他に、血液中に余分なコレステロールや中性脂肪の排出させる働きがあります。
そして、不溶性食物繊維にも腸内環境改善効果があります。
とうもろこしには微量ですが、オレイン酸が含まれており、腸内において潤滑油としての役割がある為、便を軟らかくして便通をスムーズにするため、便秘改善に尚更良いことが言えます。
とうもろこしにはマグネシウムも含まれており、マグネシウムによっても排便を促進されます。
腸内環境改善によって排便コントロールが円滑となり、体質改善や免疫力アップ、脳機能向上等の沢山のメリットが得られることに期待があります。
生活習慣病予防
とうもろこしは食物繊維の糖質吸収抑制効果やLDLコレステロールや中性脂肪の排出促進作用があることから、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化等の生活習慣病予防効果があることが言えます。
とうもろこしには黄色い色素であるキサントフィルが含まれ、血管を軟らかく保つ働きがあります。
その為、血管を健康的に保ち、高血圧予防に良いことが期待されます。
更にカリウムが多く含まれている為、血液中の余分なナトリウムを排泄し、血圧を正常値に調整する働きがあります。カリウムとキサントフィルの効用が高血圧予防や改善に効果的であることが言えます。
体内に余分に溜まったナトリウムを排泄することから、浮腫みの改善効果が期待され、浮腫み解消による血流促進効果もあることが考えられます。
とうもろこしのひげは中医学において「南蛮毛」という食薬として用いられ、利尿作用や浮腫みに効果があることから腎臓病の薬として利用されています。
とうもろこしは脂肪の比率は低いですが、主に含まれる脂質はリノール酸とオレイン酸であり、どちらかというとリノール酸の方が優位です。
リノール酸は少量あれば、HDLコレステロールを上げてLDLコレステロールを下げる働きがあり、更に血糖値や血圧を下げる作用があると言われています。
オレイン酸にはHDLコレステロールを上げてLDLコレステロールを下げ、抗酸化作用があると共に排便を促す効果があると言われています。
リノール酸は摂り過ぎると寧ろ身体に害を与えてしまうことから意識して摂る必要はありません。
寧ろ、オメガ3脂肪酸やオメガ9脂肪酸を優先的に摂り、オメガ6脂肪酸は普段の食事から摂るだけで過不足なく摂取することが可能です。
ビタミンEやルテイン、ゼアキサンチンには抗酸化作用があり、血液中の中性脂肪やLDLコレステロールの酸化を防ぐことによって血栓症の予防に役立ちます。
とうもろこしは、油脂やカリウム、抗酸化作用によって循環器疾患を予防すると言えるでしょう。
貧血予防
とうもろこしは比較的鉄分と葉酸が多く含まれ、貧血予防に良いとされています。
鉄分はヘモグロビンの材料となり、葉酸は赤血球の造血過程において核酸や蛋白質の合成に関与している為、鉄分の造血作用を助長します。
胎児の正常な成長
葉酸には核酸成分であるチミンの合成に関わり、細胞分裂を助ける働きがあります。
胎児を正常に成長させる為には細胞分裂が正常になされることが必要不可欠であり、葉酸は妊婦にとって大切な栄養素です。
粘膜生成
葉酸には粘膜の健康維持に関与し、とうもろこしには粘膜生成に必要なビタミンB2も含まれています。
口内炎や舌炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の予防にとうもろこしが役に立つことが言えます。
目の老化予防
とうもろこしのファイトケミカルである黄色い色素のルテインは、ゼアキサンチンとともに網膜の黄斑部の酸化を抑制する働きがあります。
このファイトケミカルの働きには加齢性黄斑変性症や白内障、老眼等の予防効果に期待があります。
ビタミンB2にも目の疲れや白内障への予防効果があることから、とうもろこしは目に優しい食材であると言えるでしょう。
抗酸化作用による様々な効能他
ルテインやビタミンEには強い抗酸化作用もあり、抗酸化作用によって癌予防や肝機能向上、紫外線による肌の老化防止に効果が期待出来ます。
ルテインを効率的に摂取するには油と一緒に摂ると吸収が良くなります。
ナイアシンやビタミンB1にはアルコールの代謝を促進させる働きがあるとのことです。
お茶として
とうもろこしは実の部分から抽出される「とうもろこし茶」とひげの部分から抽出される「とうもろこしひげ茶」があります。
とうもろこし茶はとうもろこしの栄養成分であるビタミンB群やカリウム、リノール酸、ルテインの効能を得られることに期待があります。
その為、エネルギー代謝を促進、疲労抑制、貧血予防、高血圧予防、粘膜保持、夜盲症予防、便秘改善等の効果があると言われます。
とうもろこしひげ茶には便秘改善効果や利尿作用があると言われます。
その為、とうもろこしひげ茶は「中医学の薬」と呼ばれています。
とうもろこし茶やとうもろこしひげ茶はノンカフェインの為、妊娠中やお子様でも安心して飲むことが出来、就寝前に飲んでも睡眠に差し支えありません。
アミノ酸組成が不完全
とうもろこしには蛋白質が含まれていますが、リジン、トリプトファンがあまり含まれていません。
その為、不足しているアミノ酸は他の食品から摂る必要があります。
とうもろこしにはロイシンが含まれていますが、ロイシンはトリプトファンからニコチン酸への生成を阻害してしまいます。
とうもろこしにはトリプトファンの材料となるナイアシンが含まれているのに何故、ペラグラを起こしてしまうのかというと、とうもろこしに含まれるナイアシンはナイアシチンであるため、トリプトファンを生成出来ません。
その為、とうもろこしばかり摂取している場合、トリプトファン不足からペラグラを起こしてしまいます。
とうもろこしにはビタミンB6が含まれているので、トリプトファンを含む食品とともに、トリプトファンの生成に関与するナイアシンを含む食品と一緒に摂る事がペラグラの予防に繋がります。
遺伝子組み換えの危険性は?
とうもろこしに関して懸念されるのが「遺伝子組み換え」です。特に輸入物のとうもろこしには農薬によって食品が汚染されている恐れがあります。
この遺伝子組み換えのリスクがあるのは市販されている加工品に含まれているものであって、果糖ブドウ糖液糖、異性化液糖、植物油脂、香料、アルコール等表記されているものは遺伝子組み換え食品である可能性も無きにしも非ずです。
効能を得るには早めに下処理を
とうもろこしの栄養成分を効率的に摂取するには収穫してから出来るだけ早く茹でる、蒸す等の処理をすることです。出来れば24時間以内に行うのが望ましいです。
出来れば茹でるよりも蒸した方が栄養成分が流出されず、更に皮つきのままで蒸すと甘味が強い状態で召し上がれます。
加熱処理をした後は2~3日以内に召し上がります。
摂取上の注意点
とうもろこしには不溶性食物繊維が多く含まれており、腸疾患に罹っている場合はデメリットとなります。
腸閉塞を起こしている場合は腸管の詰まりによって腹部膨満や嘔吐の症状を呈したり、炎症を起こしている場合は更に腸管を傷つけてしまう場合があります。
まとめ
とうもろこしに期待出来る効能についてまとめます。
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穀類の中では低カロリー、野菜と比べるとカロリーは高めですが、とうもろこしはエネルギー代謝に欠かせない栄養成分が含まれているとともに、とうもろこしに偏っているとペラグラを起こしてしまいます。
食事はバランスが基本です。