カカオはアオイ科の常緑樹であり中央アメリカや南アメリカが原産です。紀元前1900年頃から用いられ、通貨として用いられる程、貴重な存在でした。
ポリフェノールで注目されているカカオですが、その含有量は100gあたり840mgであり、ポリフェノールが多いと言われる赤ワインの180mgよりも遥かに上回ります。
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カカオの栄養と効能
カカオにはポリフェノールの他にもカカオプロテインが注目されています。
更に、ビタミンE及びナイアシン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等のミネラル類、テオブロミン、チラミンも含まれています。
カカオには次のような効能に期待があります。
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循環器疾患予防
ポリフェノールの抗酸化作用にはコレステロールや中性脂肪を酸化から守る働きがあると言われています。
酸化したコレステロールや中性脂肪は血管を傷つける原因となり、血管の傷を補修する為にアテロームが形成されます。
その為、血管が狭くなり、そこにドロドロした血液が流れると動脈硬化を起こすリスクが高まります。
ポリフェノールの抗酸化作用は、血管のアテローム形成予防に寄与することから、動脈硬化や脳梗塞、心疾患予防に効果的と言われています。
美肌効果
カカオはポリフェノールの含有量が多い上に強い抗酸化力を持つビタミンEも含まれます。
この強い抗酸化力によって紫外線から皮膚を守る為、シミやシワを予防し、アンチエイジング効果に期待があると言われます。
カカオには亜鉛や鉄分も含まれ、これらのミネラルは皮膚の形成に関わっています。
その為、カカオには美肌効果があることが言えます。
抗アレルギー
体内に活性酸素が多量に産生されると、アレルギー発症のリスクが高まります。
カカオの強い抗酸化力は活性酸素の産生を抑制する為、抗アレルギー効果に期待があります。
リラクゼーション効果
カカオにはテオブロミンが含まれていることから、自律神経を調整することに関わっていることが言えます。
テオブロミンは自律神経の中でもセロトニン分泌に働きかけ、リラクゼーション効果をもたらすと言われます。
カカオにはセロトニン生成に関わるマグネシウムが含まれており、興奮抑制作用のあるカルシウムも含まれます。
このリラックス効果によって血管が拡張し、血流改善効果や冷え改善効果に期待があります。
一方、カカオに含まれるチラミンには血管収縮作用があると言われます。
その為、血管が拡張しすぎることを防ぐことによって、頭痛の症状を起こすことなくリラクゼーション効果を得られると言えます。
脳の活性
カカオのテオブロミンによるリラクゼーション効果と抗酸化作用による抗血栓作用は、脳への血流促進を円滑にする要素であることが言えます。
脳由来神経栄養因子「BDNF」は抗酸化物質によって発現しやすいという報告があります。
その為、カカオポリフェノールには認知機能を高める働きがある可能性があると言われています
カカオによって血流が促進されることによってBDNFが脳に運ばれやすくなり、神経間のネットワークが強固になり、認知機能や記憶力、学習力を高めると言われます。
また、鬱病等の精神疾患の予防や認知症予防の可能性があり、高齢者社会を迎えるにあたり、BDNFが注目されるでしょう。
テオブロミンには脳を活性化させ、集中力を高める効能があるとも言われています。
骨の栄養
カカオには骨や歯の材料となるカルシウムとカルシウムを骨に定着させる働きのあるマグネシウムが含まれることから、骨の成長や骨粗鬆症予防に良い食品であることが言えます。
カカオプロテインはあの注目の…
カカオが便秘に良いと言われるのは、カカオには食物繊維が含まれている上に、カカオプロテインも含まれているからなのです。
カカオプロテインはレジスタントプロテインであることが判明されており、このレジスタントプロテインは水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の効能を持つと言われます。
レジスタントプロテインは小腸で吸収されない為、直接大腸に行き届きます。
レジスタントプロテインは大腸内で短鎖脂肪酸となり、腸内のPHを弱酸性に傾けます。
これによって善玉菌が優位となり、日和見菌が善玉菌をサポートする為、腸内環境改善効果に期待があると言えます。
また、腸管内において余分な糖分の吸収を抑え、血液中の余分な中性脂肪やコレステロールと吸着して体外に排出する働きがあると言われることから、生活習慣病予防や肥満予防に良いとされます。
食物繊維によって腸の蠕動が促され、腸管内の滑りが良くなる事により、便秘解消効果に期待があります。
殺菌作用
カカオには抗菌作用があると言われます。
また、歯周病菌を殺菌すると言われており、虫歯予防に良いとされています。
摂取上の注意点
抗酸化作用の優れたカカオですが、摂取の際には以下の点に気を付けましょう。
頭痛を起こす
カカオは抗酸化作用や腸内環境改善作用等、期待される効能も数々ありますが、その一方で頭痛を起こす場合があります。
これはチラミンによる収縮作用がなくなった時に見られるとのことです。
アレルギー
カカオにはニッケルが含まれていることから、金属アレルギーを起こす場合があります。
喘息
テオブロミンは大量摂取すると気道の粘膜の炎症によって気管支喘息の発作を起こすリスクがあるそうです。
興奮作用
カカオのカフェインやテオブロミンは集中力を高める為に活用することには問題ありませんが、摂り過ぎてしまうと興奮作用を高めてしまうといわれます。
就寝前の摂取は不眠による睡眠不足となりかねません。
摂り過ぎによる利尿作用促進
カカオには利尿効果が高めると言われていることから、摂り過ぎてしまうと水溶性ビタミンやミネラルの排泄を促す場合があります。
特に妊娠中においては、ミネラルが少なくなると母体から胎児へ栄養分を吸収し、結果、妊娠中に貧血を起こしたり、骨や歯を弱くしてしまうリスクがあります。
その為、妊娠中は摂取を控えた方が良いでしょう。
腸閉塞を起こしている場合
カカオの食物繊維としての効能は優れていますが、腸閉塞を起こしている場合は、腸管が神経障害によって動きが鈍くなる症状や腸管が狭くなっている症状が見られ、排便を促すことにより寧ろ腸管を詰まらせてしまい、お腹の張りや腹痛、嘔吐の症状を引き起こすことさえあります。
腸閉塞に罹っている場合は摂取を控えた方が良いでしょう。
胆石症や肥満の原因に
カカオは脂質が多いことから、摂り過ぎは肥満の原因となります。
また、脂肪の摂り過ぎは胆石症にも繋がりやすい為、チョコレートの1日あたりの摂取量摂取量は35gを超えないようにすると良いでしょう。
脂肪制限
膵臓や胆嚢の疾患に罹ると、医師より脂肪制限の指示を受けることがあります。
また、管理栄養士によって食事指導を受けている場合も同様で、このような指示を受けている時は摂取を抑えることによって脂肪摂取量を抑えられます。
但し脂肪制限はカカオに限らず、他の脂肪の多い食品も控える必要性があります。
身体を冷やす
カカオはリラクゼーション効果や認知症予防、美肌効果に期待があります。
しかし、カカオは熱帯産のものです。
熱帯地域で育てたものは身体を冷やしやすく、体温低下による免疫力の低下、冷えを起こしやすくなります。
マクロビオティックでは強い陰性であることから、摂るのであれば夏の暑い時期が望ましいでしょう。
大事なペットにはあげないで!
人間と違って犬等の動物はテオブロミンの代謝速度が遅い動物にとっては中毒症状を起こす危険性があります。
この中毒症状によって心拍数の増加や脱水、興奮等の症状を起こしてしまいます。
カカオを多く含む食品
カカオを多く含む食品と言えばチョコレートやココアがあります。
両方とも大好きという人は多いと思いますが、市販のチョコレートやココアはミルクや砂糖が多く含まれているものが殆どです。
市販のチョコレートを選ぶのであれば、カカオが70%以上のものを選ぶと良いでしょう。
更に砂糖ゼロのチョコレートは低GIであることから、糖尿病の方でも安心して食べられ、肥満や生活習慣病の予防の観点からもお勧めです。
ココアも純ココアを選んだ方がカカオの割合が多くなります。ココアは砂糖が入っていない純ココアが市販され、ミルクココアよりも値段が高く砂糖が入っていないことから一見損する様ですが、ミルクココアは砂糖やミルクの量を増やしている分だけカカオの含有量が少なくなります。
つまり、ミルクココアはこのようにコストカットが図られているということです。
しかし、健康効果で言うとカカオの効能を得られるどころか、生活習慣病を招くリスクを高めてしまいます。
そして病院のお世話になってしまっては本末転倒です。
ココアをノンシュガーで飲むのが苦手なのであれば、健康的な甘味料を少量入れて飲んだ方が安全で尚且つカカオの効能を得られる点でも良いと考えられます。
まとめ
カカオの効能についてまとめます。
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ポリフェノールが含まれ、美肌効果に注目されているカカオですが、認知症予防にも期待がある成分です。
その一方で注意点も複数あります。
カカオの栄養効果を求めるのであれば、出来る限り純粋なものを選びましょう。