黒にんにくは「天然のサプリメント」と呼ばれています。
黒にんにくはにんにくを熟成することによって出来上がりますが、熟成の過程において白いにんにくには含まれていない栄養素が生成されます。
黒にんにくには癌予防や抗酸化作用等、天然のサプリメントと呼ばれるだけあって、その効能に期待が大きいでしょう。
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黒にんにくが出来るまで
黒にんにくは通常のにんにくに添加物を使用せず、高温多湿の環境において約1ヶ月熟成させることによって作られます。
黒にんにくはにんにくに元々含まれる糖質とアミノ化合物によるメイラード反応によって熟成し、最終的に真っ黒になることによって熟成が完了します。
にんにくは熟成によって黒にんにくになることによって、一部の成分の他にニオイや味にも変化が起こります。
通常の白いにんにくが黒にんにくに変わると、白いにんにくの最大の特徴である硫化アリルの刺激臭や辛み成分がなくなり、糖度が増えることによってドライフルーツのような食感や甘味を味わえます。
この味や食感はにんにくの質そのものが良くないと甘さを感じないことがあります。
また、にんにく特有のニオイがなくなるので、食後のニオイもそれほど気にすることはありません。
黒にんにくに期待する健康効果
にんにくが熟成によって黒にんにくになると、栄養組成も変わります。
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この他にもポリフェノール、セレンも含まれます。
黒にんにくには次の様な効能に期待があります。
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抗酸化作用、抗癌作用
黒にんにくは熟成することによって「Sアリルシステイン」が増えます。
にんにくは生の状態の場合、硫化アリルによって刺激臭や辛み成分があることによって、生で摂取すると胃腸を荒らしたり、下痢を起こしたりします。
また、殺菌力が強すぎて腸内の善玉菌までも殺してしまいます。
にんにくにはγグルタミルSアリルシステインという物質が含まれ、熟成して黒にんにくになる時に、元々にんにくに含まれるγグルタミルトランスペプチダーゼによってSアリルシステインという物質が産生されます。
この変化の過程において、白にんにくに含まれていた成分がSアリルシステインに変わることによって辛みや刺激臭がなくなる代わりに、抗酸化作用及び抗癌作用を生み出します。
抗酸化作用とは体内に余分な活性酸素の発生を抑える作用であり血液中のコレステロールの酸化抑制や抗癌作用、紫外線から肌を守る作用があります。
この中の過酸化脂質の産生抑制効果は、動脈硬化予防にも繋がり、更に心疾患や脳血管疾患予防にも繋がると言われます。
抗癌作用は抗酸化作用によるものもありますが、免疫を担う機能の一つであるNK細胞に働きかけて癌予防や癌の進行抑制効果を発揮します。
Sアリルシステインには免疫力を上げることによって抗癌作用を発現することが言えます。
黒にんにくにはセレン含まれています。セレンはDNA修復、アポトーシス、内分泌系、免疫系、抗酸化作用に影響します。
その為、癌予防効果があると言われます。
セレンは英学研究において大腸癌、前立腺癌、肺癌、膀胱癌、皮膚癌、食道癌、胃癌のリスクとセレン量に逆相関が示唆されているのです。
因みにセレンには水銀やカドミウムの毒性を軽減することが確認されています。
このように、黒にんにくに含まれる複数の成分が抗癌作用に関わる為、黒にんにくは癌予防効果に注目されていることが言えます。
エネルギー代謝
にんにくに元々含まれていた硫化アリルとビタミンB1が熟成によって結合すると「アリチアミン」に変化します。
アリチアミンとは持続型ビタミンB1とも言われ、ビタミンB1が水溶性から脂溶性に変化したものです。
水溶性物質は摂取後、速やかに体外に排出しやすいのですが、脂溶性物質は長く体内に留まる為、効果が持続しやすくなります。
ビタミンB1は三大栄養素の代謝に関わり、特に炭水化物の代謝において重要な役割があります。
炭水化物がエネルギーとして利用されることによって疲労抑制効果得られる上に、疲労回復効果もあると言われます。
更に炭水化物の代謝に関わることから脳機能を維持させる働きによって、認知症予防や記憶力の維持、神経機能の維持にも役立つと言えます。
血栓症予防
にんにくには血液をサラサラにする作用があると言われます。
黒にんにくにはメチルアリルトリスルフィドが含まれており、血小板の凝固抑制作用があります。
黒にんにくは熟成加工によってアホエンという物資を産生します。
アホエンは血小板凝集抑制作用があると言われます。
黒にんにくの抗酸化作用一つとして血液中のコレステロールの酸化を抑制し、LDLコレステロールや中性脂肪によって血管を傷つけることを防ぎます。
つまり、血管が傷つくことによってアテロームが形成されると血管での血液の流れが悪くなります。
この結果の状態でドロドロの血液が流れると動脈硬化を引き起こすリスクが高まります。
抗酸化作用なこの状態に至ることを抑制する為、動脈硬化や脳血管疾患、心疾患の予防に良いと言われます。
これら抗血栓作用によって血小板の凝集を抑える働きがあると言われ、血栓の形成も最小限に抑えるそうです。
筋蛋白合成
黒にんにくは、熟成によってアミノ酸の含有量が増えます。
アミノ酸の含有量が増えるということわ、必須アミノ酸の含有量も増えるということになります。
そうなると、筋蛋白合成に関わる分岐鎖アミノ酸であるロイシン、イソロイシン、バリンの含有量が増えます。
筋蛋白合成が促進されれば、体脂肪率の低下に繋がります。
黒にんにくはダイエットや筋トレに良いと言われていますが、筋肉を付けることは高齢者の栄養管理にも重要なことです。
加齢とともに筋力が低下すると、身体を動かすことが億劫となり、食べない、動かさないを繰り返してしまうと、サルコペニアフレイルの負のスパイラルに陥ります。
この負のスパイラルに陥らない一つの手として、分岐鎖アミノ酸を摂取するのです。
そして、分岐鎖アミノ酸による筋蛋白合成は、癌やCOPDの食事療法にも活用されています。
癌やCOPDに罹ると、エネルギー消費が激しいことによって、体内の糖分や体脂肪がたちまち燃焼し、最終手段として筋肉をエネルギー源としてしまいます。
筋肉がエネルギーとして利用されてしまうと、身体はやせ細ってしまいます。
このように身体が衰弱してしまうことを出来るだけ阻止するように、医療現場では、分岐鎖アミノ酸が活用されています。
そして、筋肉を作るには、成長ホルモンが関わり、成長ホルモンの分泌を促進するには、アルギニン、グルタミンが関わります。
このように黒にんにくはアミノ酸が含まれていることから、筋肉の生成に関与すると言えるのです。
肝機能維持
黒にんにくは、肝機能の維持にも良いと言われます。
分岐鎖アミノ酸は、肝硬変の栄養管理においても必要な成分です。
肝硬変の非代償期では、血中アンモニア値が高くなり、これによってフィッシャー比のバランスが崩れます。
アミノ酸には、分岐鎖アミノ酸と芳香族アミノ酸があり、この比率をフィッシャー比といいます。
フィッシャー比が3から4であると肝臓は健康でありますが、この値が下がることによって分岐鎖アミノ酸の比率が下がります。
そうすると栄養状態の悪化や昏睡状態という症状を引き起こします。
黒にんにくには分岐鎖アミノ酸が含まれることから、肝機能の維持に役立てる食品と言えるのです。
また、黒にんにくは肝硬変とはまた違った肝機能を維持する働きがあると言われます。
黒にんにくは、アリアチミンによる持続性ビタミンB1が含まれています。
ビタミンB1はアルコールの代謝を促進することから、二日酔いの予防にも良いと言われます。
黒にんにくにはアルギニンが含まれます。
肝臓の働きの一つに、解毒作用があり、この解毒作用は、オルニチン回路という代謝経路にて行われます。
アルギニンには、オルニチン回路に代わって、有害なアンモニアを解毒する働きがあると言われます。
このようなことからも、黒にんにくは、肝機能を維持すると言えるのです。
睡眠の質の向上
黒にんにくには、セロトニン生成に関わるトリプトファン、リラクゼーション効果のあるギャバ、睡眠の質の向上に良いと言われるグリシンが含まれます。
これらによって、ストレス耐性を付けるのに良いと言えるのでしょう。
ダイエットサポート
黒にんにくにはアミノ酸が豊富で、必須アミノ酸も含まれます。
必須アミノ酸の中の分岐鎖アミノ酸は、筋蛋白合成に関わることから黒にんにくは、ダイエットに役立てる食品であると言えます。
黒にんにくには、筋蛋白合成に必要なロイシン、イソロイシン、バリンが含まれています。
そして、成長ホルモンの分泌を促進する、アルギニン、グルタミンも含まれます。
成長ホルモンも筋肉の生成に関与し、脂肪燃焼しやすい身体づくりに役立てるでしょう。
そして、成長ホルモンには、食欲抑制作用があると言われます。
このようなことから黒にんにくはダイエットをサポートする食品であることが言えます。
皮膚の形成
黒にんにくは、皮膚の形成にも関わります。
黒にんにくには、成長ホルモンの分泌の促進に携わるアミノ酸が含まれます。
成長ホルモンの分泌が促進されると、皮膚の新陳代謝も促されます。
黒にんにくには、プロリンというアミノ酸が含まれ、プロリンはコラーゲンの原料となります。
また、黒にんにくの抗酸化作用は、皮膚を紫外線から守ることから、シミやしわの予防に期待があると言えます。
ただ、この皮膚への効能を発揮するのであれば、黒にんにくの他にも、蛋白質、亜鉛、鉄分、ビタミンCなどを摂るようにして、普段から、栄養バランスの整った食事を摂ることを心掛けましょう。
注意点
黒にんにくは通常のにんにくと違って刺激はそれほど強くありませんが、食べ過ぎはお腹を壊したり、胸やけを起こす場合があります。
まとめ
黒にんにくについてまとめます。
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黒にんにくは1日あたり3粒が適量です。
生のにんにくと違い胃腸障害を起こしにくいことが言えますが、食べ過ぎると胸やけや下痢を起こす場合もあります。
その為、1日あたりの摂取量を守り、一度に大量摂取するのは控えるべきでしょう。