BDNFは「脳由来神経栄養因子」のことを言います。主に脳や神経の作用に関わり、精神疾患や脳機能において注目されています。
BDNFによって神経が作られ、作られた神経は増殖、成長を成します。BDNFは神経同士のネットワークを結び、脳神経間との連携を円滑にすると言われます。
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認知症や精神疾患に関与
BDNFは認知症や精神疾患との関連性があると言われます。
例えば前頭側頭型認知症やアルツハイマー型認知症では前頭葉若しくは側頭葉のいずれかから脳の萎縮が始まり、進行すると両方とも萎縮してしまいます。
また、若年性認知症においてもこの症状が見られると言われます。
アルツハイマーにおける高次機能障害や記憶障害の症状には、脳のBDNFが著しく不足していることが関係していることが知られるようになりました。
BDNFの減少による脳の栄養不足と血流量低下による脳への栄養供給不足が起因し、BDNFの不足に更に歯車をかけ、本来BDNFが果たすべき神経の生成や成長、増殖等の作用が働かなくなると考えられるでしょう。
また、鬱病や統合失調症、自閉症スペクトラム障害の原因もBDNF減少によるものが知られるようになっています。
BDNFを増やすには抗酸化物質を
BDNFを増やすには適度な運動、栄養、日光浴が鍵を握っていると言われます。
BDNFを増やす栄養成分といえばポリフェノールが知られています。
ポリフェノールが特に多く含まれる食品はカカオであり、カカオが使われている食品と言えば、ココアやチョコレートがあります。
ここで油断してはいけないのが、ココアやチョコレートは砂糖やミルクが多く含まれている程、カカオの含有量が少なくなます。
商品を選ぶのであれば、ココアなら純ココア、チョコレートはカカオ含有量が70%以上ものもを選ぶと良いでしょう。出来ればノンシュガーのものを選ぶと尚更です。
カカオのポリフェノール含有量は群を抜いて多く含まれ、100gあたり840mg含まれています。つまり、これだけ抗酸化作用に期待があることが言えます。
この抗酸化物質はBDNFの効能を発現しやすいということが知られています。
また、カカオに含まれるテオブロミンにはリラクゼーション効果を得られ、神経を落ち着かせることによって血流を促進し、血液によって運ばれた栄養が脳に行き届きやすくすることも関連しているでしょう。
認知症の原因にはホモシステインが関与?
認知症の原因にはホモシステインの上昇が挙げられています。ホモシステインとは必須アミノ酸のメチオニンの中間代謝物であり、この代謝には葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12が関わっています。これらが不足するとメチオニンが正常に代謝されなくなります。
また、ホモシステインは活性酸素を産生する為、抗酸化成分の摂取が不足すると血流が悪くなる恐れがあり、脳へ十分な栄養が行き届かないことさえあります。
特に葉酸は不足しやすい栄養成分の為、クロレラ等の健康食品を活用すると良いでしょう。
脳の神経や成長に関わる成分
オメガ3脂肪酸には記憶力や学習力を高めると言われています。EPAは血液を粘度を下げて血流を良くするとされ、DHAは脳や神経組織の成長や維持に関わると言われます。
適度な運動
BDNFを増やす方法は食事以外にも、有酸素運動を継続することも一つのポイントです。
運動においては運動強度の高いものは寧ろ逆効果の為、ウォーキングやエアロビクス、ダンス等、自分のペースで楽しめる方法を選ぶと良いでしょう。そしてこのような有酸素運動はセロトニン分泌を促すとも言われます。
生活リズムを整える
日光浴もBDNFを増やすと言われます。
日光浴はビタミンDの供給源でもあります。そして日光浴は朝行うと日周リズムが整うとのことです。
朝の日光浴はセロトニンを増やし、セロトニンはメラトニンの材料となり、質の良い睡眠を得られることから、生活リズムを整えるのに寄与していると言えます。
定期的に断食を
断食することも一つの手です。
断食によって食事を断じ、体内に溜まった毒素や有害物質を一度排泄して身体をリセットします。
…というのは、砂糖や食品添加物は出来るだけ摂取しないようにしても、中々これらの摂取を完全に避けられません。
そしてこの断食は一度に長期間行うよりも、定期的に行う方が効率的ともされています。
ブドウ糖は脳の栄養供給源ですが、砂糖はショ糖と果糖が合わさった状態であり、BDNFを減らすとも言われます。
飽和脂肪酸もBDNF減らすそうです。
断食によって身体がケトン体質となり、燃焼した脂肪はこのような有害なものと一緒に排泄されると言われます。
まとめ
BDNFを増やすには先述した栄養成分の摂取も大事ですが、運動習慣や生活リズムに加え、基本的な食事内容がベースとなります。
カカオにはポリフェノールが突出して多く含まれますが、抗酸化成分を摂るには野菜類や豆類、種実類を摂ることを心掛けます。
メチオニンの代謝においても必須アミノ酸の摂取は大事ですが、アミノ酸スコアが高いからといって蛋白質が肉に偏ってしまってもホモシステインの産生が促進され、これらの代謝に関わるビタミンB6、ビタミンB12、葉酸の需要が高まり、サプリメント等で対処する必要性が出てきます。
その為、蛋白源は肉より魚類や豆類から摂取することが望ましいと言えます。特に魚類についてはオメガ3脂肪酸やビタミンD3の摂取の観点から優先的に摂ると良いでしょう。
そして献立の基本である一汁三菜を守ることです。
主食、蛋白源を中心とした主菜、野菜類、海藻類、きのこ類を中心とした副菜を二品としたものが理想的となります。
中々忙しくて一汁三菜の料理が難しい場合は、汁物を野菜で具沢山にして汁物と副菜一品をひとまとめにする方法もあります。
そしてこの認知症予防は発症してからよりも、発症前に対処し、早ければ早いほどその効能に期待があるのではないかと思います。
その為には普段から正しい生活習慣や食生活を心掛け、身体も頭も健やかに過ごせる時間を少しでも延ばせる努力が大切です。