アーモンドは、バラ科サクラ属の落葉高木であり、この果実の実から作るナッツです。
原産はアジア西南部ですが、今では南ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアで生産されています。中でもアメリカのカリフォルニアが最大の生産地となっています。
アーモンドの最大の特徴は、ビタミンEの含有量が全食品の中でトップクラスということです。
アーモンドの魅力と言えば「強い抗酸化作用」「食物繊維が豊富」なところではないのでしょうか?
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アーモンドの栄養
アーモンドにはオレイン酸、リノール酸、ビタミンB2、ビタミンE、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、食物繊維が含まれ、皮にはポリフェノールが含まれます。
アーモンドには次のような健康効果に期待があります。
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抗酸化作用
ビタミンEはビタミンの中でも強い抗酸化力を持ちます。
またアーモンドの薄皮にはポリフェノールが含まれており、抗酸化力はビタミンEとポリフェノールの両方から働きかけるので、生活習慣病予防、アンチエイジング効果、癌予防、ホルモンバランス調整等の作用があると言われます。
循環器疾患予防
アーモンドは脂質が多い食品ですが、主に含まれる脂肪分は不飽和脂肪酸のオレイン酸、必須脂肪酸のリノール酸です。
オレイン酸にはLDLコレステロール値上昇抑制効果があり、リノール酸にはLDLコレステロールを溶かして体外に排出する働きがあると言われます。
アーモンドにはカリウムが含まれ、血液中のナトリウム値が上昇すると余分なナトリウムを排泄して血圧を正常に保ちます。
アーモンドは抗酸化作用によって血液中の中性脂肪やLDLコレステロールの酸化を抑えることから、血管壁を守り、血栓が出来ることを予防します。
アーモンドに含まれるビタミンB2は三大栄養素の代謝に関わっていますが、特に脂質代謝において重要な役割があります。
有酸素運動下におけるエネルギー代謝は、ミトコンドリア内でクエン酸回路を経て行われます。
この時にビタミンB2は脂肪酸の分解やFADH2の生成時に補酵素として利用されます。
ビタミンB2は、このようにクエン酸回路を動かすための一つの栄養成分として位置づけられています。
脂質がエネルギーと代謝されると、身体の余分な脂肪を燃焼することにも繋がります。
つまり、アーモンドは、高血圧、脂質異常症、動脈硬化、血栓症、心疾患、脳血管疾患、肥満の予防に役立つと言えます。
美肌効果
アーモンドは抗酸化作用により紫外線から肌がダメージを受けることを防ぎ、しみやしわを防ぐということから老化予防に期待があります。
アーモンドにはビタミンB2も含まれています。
ビタミンB2は皮膚や粘膜、爪、髪等の体組織を健康に保つと言われます。
亜鉛は細胞分裂に必要な成分であり、鉄分はコラーゲン生成に関わることから、これらのミネラルも皮膚形成をサポートします。
その為、アーモンドには美肌効果が期待されています。
腸内環境改善
アーモンドには食物繊維が豊富に含まれています。
アーモンドの食物繊維の量は玄米ご飯1杯半に値します。そして水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランス良く含まれています。
不溶性食物繊維は善玉菌の餌となって腸管内を善玉菌優位にします。
水溶性食物繊維は短鎖脂肪酸に働きかけて、腸管内のphを弱酸性にすることによって善玉菌優位にします。
水溶性食物繊維、マグネシウムは便に適度に水分を含ませて、便が円滑に排出出来るようにサポートします。
そして、オレイン酸や食物繊維によって腸の蠕動運動が促され、更に便通改善効果を高めます。
その為、腸内環境改善効果があり、便通改善や毒素排泄、糖分吸収抑制、体内の余分なコレステロールや中性脂肪の排泄など、様々なメリットがあると言えます。
骨形成に関わる
アーモンドにはカルシウム、マグネシウムが含まれているので骨の健康にも役立っています。
カルシウムには骨や歯を形成する働きがあり、更に筋肉の収縮や細胞の調整機能、神経興奮抑制作用もあります。
この作用にはマグネシウムやカリウムも関わっています。
また、マグネシウムにはカルシウムを骨に定着させる働きがありますので、骨粗鬆症予防に役立ちます。
造血作用
アーモンドに鉄分が含まれていますが、特に突出して多く含まれているわけではありません。
鉄分はビタミンCと一緒に摂ることによって吸収力がアップされるので、野菜や果物と一緒に摂ることをお勧めします。
鉄分はヘモグロビンの原料となり、鉄欠乏性貧血予防に良いとされています。
AGEsの抑制
アーモンドにはAGEsを抑制する効果もあります。
AGEsは糖と蛋白質が結び付いたものを言います。AGEsは元々体内に持っているものですが、体内に蓄積してしまうと、老化や生活習慣病を引き起こす原因となってしまいます。
健康な人ならAGEsを排出出来ますが、血糖値の急激な上昇の繰り返しや慢性的な高血糖状態、さらに蛋白質と糖質の接触時間が長い程、進行していき、糖尿病、高血圧を起こしてしまうと、AGEsを排出出来なくなり、体内に蓄積されてしまいます。
また、加齢によってもAGEsを排出出来なくなってしまいます。
アーモンドには蓄積されたAGEsを排出して、蓄積を防止する為、生活習慣病予防やアンチエイジング効果に期待があるのです。
その他亜鉛の働き
アーモンドには亜鉛も含まれています。
亜鉛には味覚障害の予防や免疫力強化、薄毛対策や性ホルモンを刺激する等、数多くの効能を持っています。
1日あたりの目安摂取量
アーモンドは健康効果に優れた食材ですが、主に脂質を含む食品の為、高カロリーです。その代わり糖分が少ないため、GI値もそれほど高くありません。
そしてアーモンドに含まれるリノール酸は脂肪燃焼効果があるので、ダイエット中の方や糖尿病の方にも安心して食べられます。
ただし、食べすぎは却って肥満を招いてしまうので、1日あたり20~25粒を1日数回に分けて食べることをお勧めします。
注意点
アーモンドを食べる際は次の点に気を付けましょう。
食べ過ぎはカロリーオーバー
アーモンドは糖質が少なく低GIですが、いくら良質な脂質が含まれていても高カロリーの為、食べ過ぎはカロリーオーバーで太ることに繋がってしまいます。
リノール酸の摂りすぎ
アーモンドにはリノール酸が含まれ、少量であればその効能に期待が出来るでしょう。
しかし、リノール酸は摂りすぎると逆効果となってしまい、却って健康を害してしまいます。
また、リノール酸は普段多く摂ろうとしなくても摂れる油であり、リノール酸を沢山とってしまうとオメガ3脂肪酸との摂取比率バランスを崩してしまいます。
リノール酸の摂りすぎは生活習慣病を引き起こすリスクを高くする上に、アレルギー体質を引き起こす原因となります。
ビタミンEの過剰摂取
アーモンドにはビタミンEが豊富に含まれ、抗酸化作用に期待が大きいです。
しかし、抗酸化作用によるアンチエイジング効果を求める余り、摂りすぎてしまうとビタミンEの過剰摂取を起こすことになりかねません。
ビタミンEは摂りすぎてしまうと、破骨細胞を活性化させてしまことによって骨をもろくする場合があります。
腸管トラブル
アーモンドは食物繊維が豊富であり、食物繊維による腸内環境改善効果は身体にあらゆるメリットをもたらします。
しかし、腸管トラブルを起こしてしまっている場合は、その症状を悪化させてしまうことがあります。
アーモンドは脂質が多い為、お腹を壊している場合も摂取を控えます。
腎不全末期
腎不全が進行すると、排泄機能が正常に働かない為に、カリウムが排泄されず高カリウム血症を引き起こしてしまいます。
血中カリウム濃度が上がると、不整脈を起こすことによって心不全を起こすリスクにも繋がります。
食べるのであれば、少量に留めておきましょう。
脂肪制限
アーモンドは脂質含有量の多い食品です。
胆石症や膵臓疾患に罹っていて、医師から脂肪制限の指示を受けている場合は摂取を控えるようにしましょう。
まとめ
アーモンドの栄養についてまとめます。
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アーモンドは間食としてお勧め出来る食品の一つです。
抗酸化作用に期待の大きい食品ですが、1日あたりの目安摂取量の範囲で摂るようにしま
しょう。