キビはイネ科キビ属に分類される一年生草木です。
インド亜大陸だけでも29種類の野生種と、サマイ及びサウイと呼ばれる2種の栽培種があります。
栽培キビは、穂の形態上の違いから散歩型キビおよび片穂型キビに分けられます。
また、実の色の黄実がキビの語源となったと言われているそうですが、品種により白、黄、褐色と様々です。現在、日本では伝統的なハレ食の餅や団子に加工するためにキビ栽培が残っており、殆どがモチ性品種となっています。
一方、ヨーロッパや中央アジア、西南アジアなどのユーラシア大陸や大陸中西部には、圧倒的にウルチ性品種が多く栽培されています。
Table of Contents
キビの歴史
栽培キビの原産地は、中央及び東アジアの温帯地域と推定されています。ヨーロッパへは、石器時代(紀元前8000~4000年)には伝来されていたものとされています。
アメリカへは18世紀になってヨーロッパからの住民が伝え、主に太平洋の北部冷涼地帯で普及されました。
日本へは華北から朝鮮を伝わってきたという説がありますが、日本においてはキビについての記録がなく、米、麦、アワ、ヒエよりだいぶ遅れて伝来してきたのではないかと考えられています。
キビの栄養
キビには食物繊維、ビタミンB群、ビタミンE、ミネラルが豊富に含まれています。
キビには次のような健康効果に期待があります。
|
腸内環境改善
キビには不溶性食物繊維が豊富に含まれています。
不溶性食物繊維は善玉菌の餌となり、腸の蠕動運動を促して腸管内に溜まった有害物質を排泄させます。
キビにはマグネシウムが含まれており水分と一緒に摂ると便のかさが増し、デトックス効果が更にたかまります。
腸内環境改善によって排便リズムが整い、美肌効果や免疫力強化、脳機能等の腸内環境改善によって様々なメリットを得られるでしょう。
エネルギー代謝
キビにはビタミンB群であるB1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸が含まれています。
キビにはマグネシウムが含まれている為、マグネシウムが酵素を働かせることにより、炭水化物、脂質、蛋白質の代謝をサポートします。
解糖系における糖の代謝にはマグネシウム、ビタミンB1が補酵素として利用されます。
そして好気的条件下においてクエン酸回路にてB1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸がエネルギー代謝時に補酵素として利用されます。
炭水化物、脂質、蛋白質を体内でエネルギーに変換させて利用する働きがあり、運動時の疲労を抑えたり、肝機能強化にも良いとされています。
キビには蛋白質が含まれます。
ビタミンB6は蛋白質の代謝に関わり、筋肉や血液が作るのに重要な働きをします。
脳機能向上
また、ビタミンB1がふくまれ、エネルギー代謝に関わることから、脳機能の安定を図り、記憶力や学習力の向上させ、怒りやうつをコントロールします。
カルシウム、マグネシウムには、鎮静作用がある為、ストレスにも良いとされています。
パントテン酸はストレスを緩和すると言われます。
マグネシウム、ビタミンB6、鉄分がセロトニン生成の材料と利用され、リラクゼーションに関わっています。
抗酸化作用
キビにはビタミンEが含まれ、抗酸化作用があります。
活性酸素を抑え、過酸化脂質の産生を抑制し、血管にアテローム形成されるのを抑制することから、動脈硬化等の生活習慣病予防効果に期待があります。
細胞の損傷を防ぐことから癌予防効果があると言われています。
紫外線から肌を守る作用があり、アンチエイジング効果が期待されます。
胎児の成長
キビに含まれる葉酸は、細胞の生まれかわりに関わります。葉酸は妊婦に必要な栄養素であり、細胞増殖が盛んな胎児が正常に発育することを支えます。
不足すると妊娠初期の胎児に影響を及ぼし、神経管閉鎖障害のリスクが高まります。
キビに含まれる亜鉛は、精子や精液の材料となり、男性由来の不妊症の予防や改善に役立つと言われます。
骨形成をサポート
キビには、骨の形成に関わるカルシウム、マグネシウム、リンが含まれています。
カルシウムは骨や歯を作るのに欠かせませんが、マグネシウムにはカルシウムを骨に定着させる働きがあるので、カルシウムをサポートします。
キビにはケイ酸も含まれている為、カルシウム等のミネラルの効果に相乗して骨の形成に関わります。
生活習慣病予防
キビにはカリウムが含まれています。カリウムは細胞内に存在し、ナトリウムとバランスを取りながら血圧が上昇しないようにコントロールしています。
また、キビに含まれるケイ酸がコレステロール減少を促進する働きがあります。
これらの微量元素の働きによって、生活習慣の予防に役立てるのです。
その他の働き
ビタミンB群は皮膚の粘膜の健康維持に役立っています。
カルシウムは、血液を凝固させることによって傷口を治す働きがあります。また、筋肉の運動や神経の働きにも作用します。
キビには亜鉛が含まれていますので、味覚障害の予防に役立ちます。
キビに含まれる亜鉛及び蛋白質や鉄分、カルシウムも含まれているので、皮膚の創傷の修復にも効果的です。
キビには鉄分が含まれ、葉酸とともに赤血球をつくり出すのに必要な栄養素な為、貧血予防に関与します。
その他の働き
キビの健康効果についてまとめます。
|
キビは雑穀御飯の具材の一つとして用いられており、御飯の栄養を補うのに役に立ちます。
ビタミンB群やマグネシウムは現代人に不足しがちなので、積極的に取り入れていきましょう。