ペクチンは植物に含まれる多糖類であり、主に果実類に含まれます。
ペクチンは植物の細胞壁と細胞壁をつなぐ成分として存在している成分です。
セルロース、ヘミセルロース、蛋白質とともに細胞壁の構成成分となっています。
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ペクチンの分類
ペクチンにはプロトペクチン、ペクチニン酸、ペクチン酸の三種類に分類されます。
プロトペクチンは不溶性ペクチン、ペクチニン酸、ペクチン酸は可溶性です。
更にペクチニン酸は高メトキシルペクチン、低メトキシルペクチンに分類されます。
ペクチンの構造
ペクチンは多糖類であることから、ガラクチュロン酸の分子が多数結合した構造をしています。
ガラクチュロン酸がメチル化したものも存在し、これをメチルエステル化ガラクチュロン酸と言います。
メチルエステル化された分子の割合が多いものをHM(ハイメトキシル)ペクチン、少ないものをLM(ローメトキシル)ペクチンと言います。
ゲル化
このうちHMペクチンは酸と糖が共存するときにゲル化する性質があります。
例えば牛乳を加えると半固形化するデザートはその性質を利用しています。
これは果物のphによっても異なるので、固まり具合は食品によって異なります。
LMペクチンは2価の金属イオンが存在するとゲル化する性質があります。
フルーツジャムはこの性質を利用して製造されます。
硬化・軟化
ペクチンは加熱によって植物の組織を軟化させる働きがあります。
しかし、酢を加えたり、ミネラルが豊富な硬水で茹でると軟化作用が抑制されます。
例えば、ごぼうや蓮根を茹でる時に酢を加えるのは、歯切れの良い食感を残すことを目的として、このような下処理を施します。
カルシウムが豊富な硬水で豆を煮たり、60~70度の温度で野菜を再加熱すると軟らかくなりにくくなります。
これはペクチン酸とカルシウムイオンが結びつくことによって不溶化し、組織を硬くしてしまうためです。
ペクチンの健康効果
ペクチンは食物繊維であることから、腸内環境改善や生活習慣病予防に期待があります。
不溶性食物繊維は善玉菌の餌として腸管内を善玉菌優位にさせ、便のかさを増して腸の蠕動運動を促し、老廃物の排泄を促します。
水溶性食物繊維は腸内のphを弱酸性にすることによって善玉菌が優位になりやすい環境を作って腸内環境を整え、便に水分を含まして老廃物の排泄を促します。
生活習慣病予防の観点からすると、不溶性食物繊維は腸からの余分な糖の吸収を抑制し、水溶性食物繊維は体内の余分な糖分や中性脂肪、コレステロールの排出を促し、糖尿病や脂質異常症、胆石症などの予防に役立つと言えます。
しかし、ペクチンを主に含む食品は果実類です。
果糖の大量摂取は脂肪肝、糖化、脂質異常症を引き起こす原因になるため、摂り過ぎに注意しましょう。
まとめ
ペクチンの構造、調理におけるペクチンの性質、健康効果について見てきました。
ペクチンは果物から摂取出来、食物繊維による健康効果に期待がありますが、果物の摂り過ぎも却って身体に害を与えてしまいます。
ペクチンに限らず食物繊維を摂るには、普段から植物性の食品を摂ることを心がけましょう。