かつて「リンゴダイエット」で話題となったリンゴですが、身近な食品であるリンゴは「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」という諺があるほど、意外にも栄養価の高い食品です。
リンゴの栽培が始まったのは新石器時代と言われます。
日本に渡来したのが900年頃であり、その当時のリンゴは観賞用の小さいリンゴでした。
食用のリンゴが普及したのは明治時代と言われます。
リンゴは種類が30種類ほどと言われますが、品種改良しているものも含むと200種類にものぼるそうです。
Table of Contents
栄養成分
リンゴに主に含まれる栄養成分には、ビタミンC、カリウム、食物繊維、リンゴ酸、プロシアニジン、アントシアニン、エピカテキン、オフタコサノール、フロレチン、ケルセチン等が含まれます。
食物繊維の含有量は皮付と皮なしで異なります。
皮付 | 皮なし | |
水溶性食物繊維(g) | 0.5 | 0.4 |
不溶性食物繊維(g9 | 1.4 | 1.0 |
リンゴには次の健康効果が期待されます。
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老廃物の排泄促進
リンゴには豊富な食物繊維が含まれることから、腸内環境改善に期待があります。
リンゴに含まれる食物繊維はどちらかと言えば不溶性食物繊維の方が含まれ、不溶性食物繊維は善玉菌の餌となります。
リンゴには水分が豊富に含まれ、不溶性食物繊維と摂ることによって腸管内の老廃物を洗浄し、便のかさを増やして腸の蠕動運動を促して老廃物の排泄を促進します。
水溶性食物繊維も含まれるので、腸管内のphを弱酸性にすることによっても善玉菌優位にさせます。
ケルセチンは老廃物の排泄を促します。
リンゴ酸にはクエン酸サイクルの動きを円滑にして尿のphを調整し、尿中のクエン酸を排出する働きがあると言われています。
疲労抑制
リンゴ酸にはクエン酸回路をサポートし、乳酸の過剰産生を抑制と言われます。
リンゴの皮にはオフタコサノールが含まれ、オフタコサノールはビタミンB群のような働きをします。
そのため、運動時における疲労を抑制すると言えます。
リンゴ酸は酸性に傾いた身体をアルカリに傾けることによっても、疲労回復に良いと言われます。
生活習慣病予防
りんごは食物繊維が豊富であり、不溶性食物繊維は腸管からの余分な糖の吸収を抑制します。
その為、食後血糖値の急激な上昇を抑えます。
食後血糖の上昇抑制によって糖尿病や肥満を予防すると言えます。
水溶性食物繊維には体内の余分な糖分、中性脂肪、コレステロールの排出を促進する働きがあります。
オフタコサノールはLDLコレステロールや中性脂肪の吸収を抑えると言われます。
リンゴにはエネルギー代謝を円滑にさせる栄養成分が幾つか含まれていることから、余分なエネルギーの蓄積を防ぐことによって肥満や生活習慣病を予防することに期待があるでしょう。
リンゴの皮にはポリフェノールが含まれます。
その中でもプロシアニジンには強い抗酸化力があることが知られています。
プロシアニジンは皮だけでなく、実の部分にも含まれています。
抗酸化作用の働きには血液中の中性脂肪はコレステロールを酸化から守る働きがその一つとしてあります。
その為、動脈硬化や血栓症予防に期待があり、心疾患や脳血管疾患の予防にも良いと言えます。
リンゴにはカリウムが豊富に含まれ、血液中の余分なナトリウムの排泄を促進させます。
そのため、高血圧予防に期待があります。
アントシアニンにはビタミンPのような働きもあり、ケルセチンとともに血管を保護したり強化すると言われます。
その為、脳出血や糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症の予防に期待があります。
美肌・美白効果
リンゴにはプロシアニジン、アントシアニン、エピカテキン、ビタミンCが含まれ、抗酸化作用があることから紫外線による皮膚のダメージから守ると言えます。
ビタミンCには一度出来てしまったシミやそばかすを目立たなくする働きがあることから美白効果に期待があります。
ビタミンC、アントシアニンはコラーゲンの合成を促進し、美肌作りをサポートします。
抗アレルギー
リンゴには食物繊維が豊富なことから、腸内環境によって免疫機能を向上させると言えます。
リンゴは皮ごと摂るとアントシアニンも摂れます。
アントシアニンにはヒスタミンを抑える働きがあり、花粉症による不快な症状を抑えると言われます。
リンゴ酸、アントシアニンには抗炎症があり、特にアントシアニンにはアスピリンの10倍もの抗炎症作用があるとのことです。
ビタミンCは白血球の働きを強化し、NK細胞を活性化することによって免疫力を高めます。
また、粘膜生成にも関与することから感染症を予防すると言えます。
胃腸の働きを促進
リンゴ酸には胃酸の分泌を促進する働きがあります。
炎症抑制作用があることから胃炎を予防し、
食物繊維によって腸の働きを活発にさせます。
貧血予防をサポート
リンゴに含まれるリンゴ酸やオフタコサノールは栄養の代謝を促進します。
ビタミンCは二価鉄を三価鉄に還元して鉄の吸収を促進し、造血作用をサポートします。
目の機能維持
リンゴに含まれるアントシアニンは、目の奥にある紫色の色素であるロドプシンの再合成を助けます。
その為、眼精疲労や視力の改善に良いと言われます。
アントシアニンは毛細血管を強化することから、血液循環を向上させ、角膜や水晶体のコラーゲンを安定させるとのことです。
癌予防
リンゴの葉や皮に含まれるフロレチンは、癌細胞の増殖を抑制する働きがあることで注目されています。
フロレチンはブドウ糖を細胞に運ぶグルコーストランスポーターの働きを強く抑えます。
これによって癌細胞が増殖することを防ぎます。
また、フロレチンは癌細胞へのアポトーシスを誘導することが報告されています。
注意点
リンゴを摂る際は以下の点に気を付けましょう
腎機能低下
リンゴはカリウムが豊富なことから、塩分過剰摂取による疾患の予防に良いと言えます。
健康なうちは腎機能の維持にも役立ちますが、腎不全が進行してしまうと排泄機能がきかなくなり、本来排泄されるはずのカリウムまでも体内に蓄積してしまいます。
カリウムの過剰な蓄積は不整脈を起こす原因となり、腎性心不全に至るリスクを高めます。
腸管トラブル
リンゴは食物繊維が豊富なことから、腸閉塞や腸に炎症が起こっている場合は、腸管を詰まらせたり、下痢を起こすことになります。
果糖の過剰摂取
リンゴには抗酸化作用や糖尿病の合併症を予防する働きに期待がありますが、沢山摂ることは果糖の過剰摂取に繋がります。
糖化を起してしまえば、却って糖尿病の合併症を引き起こしやすくなり、老化にも繋がります。
生で召し上がるのが良い
リンゴには美容効果やデトックス効果といった嬉しい働きがあるのですが、ビタミンC、プロシアニジンは熱に弱い成分です。
加熱してしまうと、これらの効能が十分に享受されません。
まとめ
リンゴの健康効果についてまとめます。
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リンゴには食物繊維や強い抗酸化力をもつ成分が含まれていることから、その健康効果に期待があります。
「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」という諺に相応しいと言えるでしょう。
1日あたりのりんごの摂取量は1個までが適量です。
但し、糖尿病に罹っている場合や中性脂肪が高い場合は1日1/2個までにとどめておきましょう。