飲む点滴と呼ばれる日本のシンバイオティクス食「甘酒」

甘酒には「米麹甘酒」と「酒粕甘酒」の2種類があります。

この2つのうち「飲む点滴」と呼ばれている甘酒は「米麹甘酒」であり栄養豊富な上にノンアルコールの為、妊娠中や授乳期の方、子供にも安心して飲むことが出来ます。

一方酒粕甘酒の方はアルコール分が入っている為、妊娠中や授乳中の方、子供には不向きです。

また、酒粕で甘酒を作ると甘さを引き出せない為、砂糖で甘味を付ける必要があります。

 

甘酒の歴史

「飲む点滴」と呼ばれる甘酒は、日本書紀に木花開耶姫が作った「甘甜酒」の記述があることから、古墳時代に遡るほど古い歴史を持つと言われています。

平安時代に入ると甘酒は貴族の飲み物として伝えられてきました。室町時代になると、庶民の間にも広まりました。

昔は電化製品のない時代だった為、夏を乗り越えるのは大変な時代でした。

この状況の中、甘酒は栄養豊富なことから庶民の間で流行し、「飲む点滴」と呼ばれるようになりました。

 

甘酒の栄養

甘酒にはビタミンB群が含まれています。麹にはビタミンB群を作り出す酵素もある為、これらの栄養素を豊富に産生します。

必須アミノ酸全てを含み、必須アミノ酸以外のアミノ酸であるアルギニンやシスチン、グルタミン等も含まれています。

GABAや食物繊維、コウジ酸も含まれ、酵素によって様々健康効果を引き出します。

甘酒には次のような健康効果に期待があります。

  • 疲労抑制、回復
  • 筋肉の合成をサポート
  • 粘膜保護
  • 皮膚や爪、髪を健康に保つ
  • リラクゼーション
  • 腸内環境改善
  • 生活習慣病予防
  • 血流促進
  • 美白効果
  • 老化防止
  • 腎機能低下、血管トラブル、白内障の予防

 

三大栄養素の代謝

ビタミンB群にはビタミンB1、B2、B6、ナイアシン等がありますが、主な特徴として三大栄養素の代謝に関わっていることです。

ビタミンB1、B2、B6、ナイアシンは糖や脂質がエネルギー産生に関わり、有酸素運動において疲労を予防しながら脂肪燃焼する為、効率的にエネルギー消費をしていきます。

ビタミンB6は蛋白質の合成に関わり、アミノ酸も含まれる為、運動することによって、筋肉の合成を促します。

この為運動によるダイエット効果を得られやすい体質に変えることに期待があります。

蛋白質には体組織を作ること以外にも、免疫力向上や神経伝達、輸送等の働きがあり、ビタミンB6によってこれらの機能を発揮します。

米麹甘酒にはこのようにエネルギー代謝に関わるビタミンB群が含まれていることから、疲労回復にも良いと言われます。

 

粘膜保護

ビタミンB2は粘膜保護作用や細胞の再生作用があり、眼精疲労や白内障、涙目や目の乾燥等の眼病予防効果及び口内炎及び舌炎の予防効果があると言われます。

また、皮膚や髪、爪の形成にも関わっています。

 

リラクゼーション

米麹甘酒にはGABAが含まれています。GABAには交感神経抑制効果がある為、リラックス効果があり、良質な睡眠を得られ、血圧も正常値にコントロールします。

ビタミンB6にはアミノ酸の代謝に関わる働きがある為、GABAの効能を効率的に得られることに期待があります。

寝る前に甘酒を飲むと快眠を得られるのはこのような理由があるからなのです。

 

腸内環境改善

米麹には酵素の力で澱粉をオリゴ糖に分解する働きがあります。

米麹甘酒には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。

また、甘酒は発酵食品であることからプロバイオティクスとしての効能が得られます。

甘酒に含まれるオリゴ糖と不溶性食物繊維には甘酒から摂取した善玉菌を増やすプレバイオティクスとしての働きがあります。

不溶性食物繊維は腸の蠕動運動を促し、腸内に溜まった老廃物を排泄させます。

また、腸内環境改善によって下痢や便秘の改善、免疫力強化、悪玉菌の死滅による体質改善効果等の効能が得られます。

このようなことから甘酒はシンバイオティクスであることが言えます。

 

生活習慣病予防

不溶性食物繊維は腸管から余分な糖の吸収を抑えます。

甘酒には米麹の生成過程においてブドウ糖が生まれます。ブドウ糖は血糖値を上昇させる働きがありますが、基本的には身体や脳のエネルギー源としての役目があり、本来身体にとって必要な糖分です。

不溶性食物繊維によって糖の吸収を抑える為、血糖値を極端に上げずに身体に必要なブドウ糖を供給し、身体に満腹感を覚えさせます。

水溶性食物繊維には体内の余分なLDLコレステロールや中性脂肪を吸着して排泄する働きがあります。

甘酒には脂質異常症や脂肪肝、胆石症、動脈硬化等の疾患予防効果があることが言えます。




 

血流促進、美白

甘酒には身体温める働きがあり、甘酒に含まれるコウジ酸は血流を促します。

この身体を温める働きというのは、発酵によるものです。

コウジ酸には美白効果があると言われます。

コウジ酸にはメラニンの合成に必要とされるチロシナーゼやTRP-2の生成を抑えることから、紫外線によるシミの生成を抑えると言われます。

また、AGEsをの生成を抑えることによっても、老化の進行を抑えます。

AGEsの生成を抑えることは、骨密度の低下や腎機能低下、血管トラブルや白内障の予防にも繋がります。

 

安い商品を選ばない

市販品の甘酒を購入する時は安易に安価なものを選ばないようにしましょう。

安い物は原材料の中に砂糖が使われています。

甘酒は砂糖を入れなくても甘さのあるものですが、砂糖の入っている商品は、甘酒そのものが薄く砂糖で甘さを調節している為、甘酒本来のもつ栄養面での効能を享受するのにあまり期待がありません。

栄養成分の効能を得るのなら、値段が高くても、原材料が米と米麹及び塩しか含まれていないものを選びます。

 

甘酒の作り方

甘酒は家でも簡単に作る事が出来ます。

  1. まず、米2合分でお粥を炊きます。
  2. お粥が炊き上がったら60℃位に温度を下げ、米麹200gを加えます。
  3. この状態で8~10時間保温します。その間、3回ほど甘酒をしゃもじでかき混ぜます。
  4. 8時間以上たったら、塩を大匙1杯分加えます。

このような順序で簡単に作れてしまいます。

因みに塩には味の対比効果により、甘さを増します。

そして塩は精製塩を使うより海塩や岩塩等の天然のもので、ミネラルが豊富に含まれるものを選ぶことによって、更に甘酒の飲む点滴効果を高めます。

 

甘酒の手作りは茹で小豆に応用できる

実は、この甘酒を作る方法を応用して茹で小豆を作ることも出来ます。甘酒を作る工程の中でお粥を作る工程を小豆を煮ることに変えます。

小豆は鍋や炊飯器を活用して煮ますが、好みの方法で煮ます。この時、小豆には味付けをしません。

  1. 煮上がった小豆を60℃位に冷まし、米麹を加えます。
  2. 8~10時間保温し、この間に2~3回しゃもじでかき混ぜます。
  3. 8時間以上経った後、塩を大匙1杯加えて出来上がりです。

見た目は麹が混ざって通常の小豆とだいぶ変わりますが、麹の栄養を得られる上に小豆に含まれるビタミンB1やポリフェノール、蛋白質も含まれる為、健康的なおやつとして活用出来ます。

ぜんざいにしてみたり、いとこ煮にしてみたり、手作りパンケーキの具材としても活用出来ます。

 

まとめ

甘酒についてまとめます

  • 疲労抑制、回復
  • 筋肉の合成をサポート
  • 粘膜保護
  • 皮膚や爪、髪を健康に保つ
  • リラクゼーション
  • 腸内環境改善
  • 生活習慣病予防
  • 血流促進
  • 美白効果
  • 老化防止
  • 腎機能低下、血管トラブル、白内障の予防

甘酒は飲む点滴として、食欲のない時にミネラル補給源に活用出来ます。

飲む点滴としての効能を期待するのであれば、原材料に砂糖が使われていなく、麹と塩から製造された商品を選ぶと良いでしょう。

 
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