鮭はビタミンEの1000倍もの抗酸化作用をもつアスタキサンチンが含まれていることから「スーパーアンチエイジングフード」として注目されています。
鮭の美容効果はそれだけではなく、蛋白質をはじめとする数多くの栄養成分が皮膚を若く保つことに寄与しているのです。
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鮭の分類
秋の味覚の一つとしても親しまれている鮭はサケ科サケ属に分類され、白鮭、紅鮭、銀鮭が属します。
鱒も同じくサケ科サケ属に分類されている為、分類上は鮭と同じですが、鮭と呼ばれる魚以外のサケ科の魚を総称しています。
主にニジマス、イワナ、ヤマメ、アマゴ、ブラウントラウトがこれらに分類され、「トラウト」とも呼ばれます。
鮭はもともと川で生まれ、海で成長した後産卵期を迎えて川に戻ります。
一方「トラウト」と呼ばれているものは海に行かず、淡水のみで生活を送ります。
海で育った鮭はアニサキス等の寄生虫を持っている為、生食は厳禁となっています。一方淡水で育った鮭は、徹底した環境管理と養成技術の進化により感染防止対策がなされ、生食が可能となっています。
サーモンは鮭を指す言葉ですが、日本においては海で成長して生食出来ないものを「鮭」と呼び、生食可能な鱒等を「サーモン」と呼び、生食可能かどうかを呼び方で区別しています。
鮭の栄養
魚と言えば良質な蛋白源であることは言うまでもありませんが、鮭には蛋白質をはじめ、DHA、EPA、ビタミンA、アスタキサンチン、ビタミンB群、ビタミンD、ナトリウム、カリウム、リン、マグネシウム、マンガン、鉄分、亜鉛、セレン、アンセリンも含まれ、「スーパーアンチエイジングフード」と呼ばれています。
鮭には次のような健康効果に期待があります。
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美肌効果に期待が大きい
魚の多くはアミノ酸スコアが100ですが、その中でも鮭の蛋白質の含有量はトップクラスです。更に、皮の下の部分(少しヌルヌル?しているところ)には、なんと「コラーゲン」も含まれているのです。
鮭には鉄分や亜鉛も含まれ、これらミネラルも皮膚の形成に関わります。
この為、鮭には美肌効果やシミやそばかすを目立たなくする働き、皮膚の創傷の治癒を早める、スキンテアの改善にお勧めの食材であることが言えます。
それ以上に抗酸化力が強いのは色素成分で且つカロテノイドの一つである「アスタキサンチン」です。
アスタキサンチンの抗酸化力はビタミンCの約6000倍、CoQ10の約800倍、ビタミンEの約1000倍、βカロテンの焼く40倍と言われます。
この抗酸化力の持つ美肌効果は、紫外線から肌を守ることによってシミやシワ、たるみを予防する働きがあるということです。
更にビタミンCと一緒に摂ると、鮭の美肌効果を相乗させることに期待が大きいでしょう。
アスタキサンチンは、コラーゲンやエラスチンの生成のサポートにも関わります。
鮭に含まれているセレンはグルタチオンペルオキシターゼという抗酸化酵素の合成に関わり、ビタミンEと摂ることによって効果が増すことから、更に抗酸化作用による効能を享受出来ることに期待があります。
鮭はアミノ酸が豊富であり、アミノ酸の中には成長ホルモンの分泌を促進するものがあります。
成長ホルモンの分泌が促進されると肌の新陳代謝がアップし、皮膚形成をサポートします。
オメガ3脂肪酸を含む
鮭は低カロリーという人もいますが、鮭の中でも白鮭は淡泊で脂質含有量が少ない為、低カロリーですが、銀鮭は100gあたり約200kcalの為、決して低カロリーではありません。
鮭等の魚類は脂質含有量によってカロリーの高低が左右されますが、鮭の脂質はDHAやEPAであり、健康面においても脂肪燃焼効果という観点においても優れた脂質なのです。
鮭にはアスタキサンチンやアンセリンが含まれ、抗酸化作用に非常に優れた食品です。
抗酸化作用には過酸化脂質の生成を抑える作用があり、酸化したLDLコレステロールや中性脂肪の産生を抑制します。
これらの物質の産生を抑えることによって血管壁が傷つくことを予防する為、血管内にアテロームが形成させるのを防ぎます。
これによって動脈硬化や心疾患、脳梗塞等の生活習慣病予防効果があると言われているのです。
鮭に含まれるオメガ3脂肪酸は非常に酸化しやすい特徴がありますが、抗酸化作用によって酸化から守られていると言っても良いでしょう。
DHAやEPAは身体の全ての部位を健康にすると言われます。
DHAやEPAはHDLコレステロールを増やし、LDLコレステロールを減らす作用がある為、高血圧症や脂質異常症等の生活習慣病を予防する働きがあることが言えます。
更に、EPAの血液サラサラ効果、DHAの神経組織や脳の成長や維持に関わります。
このような効能によって鮭は脳機能の維持、学習力や記憶力の向上、認知症予防に関与することが言えます。
癌予防
抗酸化作用の一つに抗癌作用があります。
鮭には強い抗酸化力をもつアスタキサンチンを含んでいます。
オメガ3脂肪酸には抗炎症作用があります。
鮭にはこのように癌予防に効果的と言われる栄養素が複数含まれている為、抗癌作用が期待出来ると言えます。
三大栄養素の代謝
鮭にはビタミンB群が含まれています。
ビタミンB群は糖質や脂質がエネルギーとして利用されるのに必要な栄養素であり、ビタミンB6やビオチンやナイアシンも含まれている為、糖質や脂質をエネルギーとして利用させることによって運動時において脂肪燃焼を促します。
疲労抑制効果もあり、鮭には「アンセリン」という疲労抑制物質も含まれている為、有酸素運動を無理なく行える効果があることが言えます。
鮭には蛋白質と蛋白質の代謝に関わるビタミンB6が含まれ、筋肉の合成に関わることから、脂肪燃焼しやすい身体を作る食品であると言えます。
目のトラブル予防
鮭に含まれるビタミンAの中のレチノールとレチナールは網膜細胞の保護作用や視細胞の光刺激反応に重要な役割があります。
また表皮の細胞を生まれ変わらせること働きがあります。
アスタキサンチンの抗酸化作用には眼精疲労の改善によるピント調節機能改善や毛様体筋の疲れによる肩こりや頭痛、吐き気の症状改善に良いとされています。
鮭に含まれるビタミンB2には粘膜保護作用や細胞の再生作用があり、眼精疲労や白内障、涙目や目の乾燥等の眼病予防効果があり、オメガ3脂肪酸には加齢性黄斑変性症予防効果があると言われます。
女性の悩みに応える
鮭には鉄分も含まれ赤血球の材料として知られている栄養素です。
ビタミンB12や葉酸がヘモグロビン合成を補助し、銅は鉄代謝に関与します。
鮭には鉄欠乏性貧血の他にも悪性貧血予防効果もあることが言えます。
特に女性においては血液を作る栄養素は大切であり、月経中や妊娠中は特に必要とします。
鮭には葉酸も含まれていることから、正常に細胞分裂を行い、胎児が正常に成長するために欠かせない栄養素の為、妊娠中のお勧めの食材の一つであることが言えます。
鮭缶の栄養
鮭は缶詰のものを摂ると鮭に含まれている蛋白質やコラーゲン、ビタミン類やミネラル類に加え、骨ごと食べられることからカルシウムも摂取が出来、特に骨ごと食べられる缶詰は骨を丈夫にする働きに期待があります。
カルシウムとリンは骨や歯の材料となります。カルシウムを骨に定着させるにはマグネシウムが利用されます。
コラーゲンは美肌効果が強いと言われますが、骨形成にも関わっています。鮭にはコラーゲン生成に関わるビタミンCも含まれています。
更に鮭にはビタミンDが豊富であり、鯖や鰯の3倍、アジの10倍以上も含まれていると言われます。このビタミンDも骨形成に関わっています。
注意点
このように沢山の栄養素を含む鮭ですが、症状によっては控えなければならないケースもあります。
腎機能低下、循環器疾患
蛋白質が豊富でリンも含まれているので、必要以上に摂り過ぎてしまうと腎臓に負担がかかります。
特に腎機能が低下している場合、排尿困難に陥り、これに伴いカリウムが排泄出来なくなってしまいます。
カリウムは高血圧のように循環器疾患予防にはお勧めのミネラルですが、腎機能が低下していると体内にカリウムが蓄積されて、不整脈をおこしてしまいます。
最悪の場合は心不全を起こして死に至るリスクも孕んでいます。
塩蔵されているものには塩分摂取量過多になりやすい為、高血圧や心疾患、腎臓病の原因となります。
脂肪制限
膵炎や胆石症等によって医師から脂肪制限の指示を受けている際にも注意が必要です。
もし、鮭を選ぶのであれば、比較的脂肪分の少ない白鮭を選ぶと良いでしょう。
肝硬変非代償期
肝疾患に罹っている場合、肝硬非代償期の場合は蛋白質を制限されることがあります。
肝硬変非代償期の場合、血中アンモニア濃度が高くなり、昏睡や低栄養などの症状が見られ、蛋白質の摂取がアンモニア濃度の上層を加速させてしまい、更に肝機能悪化に至ります。
その為、肝硬変非代償期の場合は蛋白制限という観点から鮭の摂取を控えます。
まとめ
鮭の栄養についてまとめます。
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栄養豊富な鮭ですが、1日あたり切り身一切れ分(約70g)が適量であり、血圧等が気になる場合は塩分が殆ど含まれていない生鮭を選ぶと良いでしょう。