成長ホルモンの働きには脂肪燃焼促進や皮膚の新陳代謝促進等があります。
アミノ酸の中には成長ホルモン分泌促進作用があるものが幾つかあります。
アルギニンもその一つです。
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アルギニンの働き
アルギニンとは1886年、ルビナスのマメ科の植物から発見された非必須アミノ酸の一種です。
アルギニンは非必須アミノ酸であり体内で合成できますが、生成能力が十分ではなく、不足分を摂取する必要があることから準必須アミノ酸と言われています。
アルギニンが体内でどのように働くのかと言うと次のものが挙げられます。
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子供の成長
アルギニンの効果の一つとして成長ホルモンの分泌を促進する効果があります。
成長ホルモンは脳下垂体から分泌されます。
まず、成長ホルモン分泌作用で欠かせないのは子供の成長です。
成長ホルモンの分泌量は、子供が第二次成長期の時にピークとなります。
成長ホルモンの分泌は、骨や筋肉の成長に繋がります。
子供の身長を伸ばすには、骨の成長がカギを握っています。
それは子供の骨にある骨端線をいかに伸ばすのかが重要であり、骨に必要な栄養を取り入れつつ骨に刺激を与えながら、成長ホルモンの分泌促進のためのアミノ酸を摂り、十分な睡眠をとるのです。
免疫機能の増強
アルギニンには病気への抵抗力を高める働きがあるとのことです。
アルギニンにはマクロファージと呼ばれる免疫機能を活性化させる働きがあります。
マクロファージは体内に侵入してきた細菌やウィルスを処理する白血球の一種であります。
この働きを強化することによって、風邪やインフルエンザなどの感染症から身を守るのです。
解毒作用
アルギニンには解毒作用があると言われます。
蛋白質を含む食品にはアミノ酸が含まれ、その中にアミノ基というものがあります。
このアミノ基からアンモニアが作られますが、アンモニアは有毒である為、ほかの物質に変える必要があります。
アンモニアを解毒するためにはオルニチン回路を経る必要があります。
アルギニンは肝臓でアンモニアを代謝するオルニチン回路に関わって、アンモニアを解毒する働きがあります。
オルニチン回路はエネルギーをつくり出すクエン酸回路をサポートする働きがあり、アンモニアを解毒することによって肝機能を正常にします。
このようなことから、アルギニンには解毒作用があると言えるのです。
筋肉の増強
成長ホルモンは脂肪の代謝を促し、筋肉を増強させる働きもあります。
成長ホルモンのオルニチン、トリプトファン、チロシン、グリシンにもアルギニン同様に成長ホルモンの分泌を促すアミノ酸があります。
血流促進
アルギニンは体内で一酸化窒素を生成する働きがあります。一酸化窒素は体循環、腎循環、血圧の調整など重要な働きを担っています。
一酸化窒素は血管を拡張し、血流をスムーズにすることにより、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの予防効果が期待され、アルギニンの持つ血流改善作用によるものと考えられています。
生活習慣病予防
アルギニンにはインスリンの分泌を高める働きがあり、糖尿病の予防の他、肥満やメタボの予防にも効果的とされています。
しかし、インスリンの大量分泌もデメリットがあります。
普段の食生活が不摂生なほど、インスリン感受性は低下します。
インスリンは大量分泌すると太ると言われますが、インスリンが太るホルモンと化してしまっている理由には、不摂生な食事や肥満も原因となっています。
インスリンの感受性を高めるためには、アディポネクチンを増やすことです。
アルギニンにはアディポネクチンを増加させる作用もあるので、インスリンの感受性を高めることが可能になります。
また、成長ホルモンには蓄積されている体脂肪を糖分に変換して、低血糖を起こさないように血液中の糖分を調整します。
そして、成長ホルモンは、食欲を抑制する働きがあるとのことです。
このように、アルギニンは糖尿病や肥満の予防に良いと言われるのです。
また、アルギニンは、血糖値や体脂肪を調整する働きがあることから、糖化の予防に有効的と言われ、糖化の予防によって全身が老化することから守ります。
スキンケア
アルギニンにはスキンケア効果もあります。
アルギニンには角質層を保湿する働きがあります。
アルギニンは医療現場では褥瘡の改善に欠かせない栄養の一つとなっております。
先述のように、アルギニンには成長ホルモン分泌効果、血管拡張作用、免疫機能の活性化、インスリン抵抗性に関わっています。
アルギニンの摂取により異化作用を軽減させて、窒素バランスを改善し、褥瘡の治癒を促します。
褥瘡の治癒は大きさや発生時期から治癒なでのどの段階に置かれているかによって、補給する栄養素が異なります。
また、るい痩が見られる時はエネルギー量を増強する必要がありますし、腎不全の方には病状の進行によって蛋白質の投与量を慎重に検討しなければなりません。
アルギニンはポリアミンの生成にも関わり、ポリアミンは傷の修復や細胞の増殖に関わり、傷の治癒を早めることから手術後の回復を促進し、感染症による合併症を防止する働きがあります。
手術の時は場合によっては術後すぐに経口摂取出来ないケースもあるので、このような場合は、アルギニンが配合された輸液が利用されています。
また、経腸栄養の研究も進められており、オメガ3脂肪酸や核酸が術後の感染から身体を守る働きがあることが明らかにされています。
成長ホルモンは、皮膚の組織を造ることに関与している為、ポリアミンや成長ホルモンの双方からの働きかけとなるのですが、これにはアルギニンによるものが寄与していると言えるのです。
1日あたりの目安摂取量及び注意点
アルギニンの1日の最大許容量は9gです。副作用はないもののサプリメントで摂り過ぎてしまうと様々な副作用が見られると言われています。
頭痛、眠気、緑内障、下痢、ヘルペス、心臓への悪影響、肝臓への悪影響がこれに該当します。緑内障のある方は摂取量を控えると良いでしょう。
統合失調症の方も注意して摂取する必要があります。成長ホルモンの分泌を促すことから成長期の子供に良いと思われがちですが、過剰に摂取することによって巨人症になる恐れがあります。
サプリメントは子供が摂取することを想定して作られていないことから、許容上限量以内の摂取でも過剰摂取による副作用が懸念されます。
まとめ
アルギニンの働きについてまとめます。
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成長ホルモン分泌促進作用に期待のあるアルギニンですが、サプリメントの不適切な摂取による過剰摂取障害を起こさないように気を付けましょう。
アルギニンを多く含む食品には、えび、豚肉、鶏肉、大豆があります。
アルギニンが不足しないようにするには、普段から蛋白質を摂ることを心がけましょう。