キヌアはビタミンB群やミネラルの補給源となり、植物性食品でありながらアミノ酸スコアが比較的高い食品です。
不足しやすい栄養成分を含んでいるため、現代人に不足しやすい栄養素の補給源として活用出来る食品と言えます。
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キヌアについて
キヌアは南米のアンデスを原産とするアカザ科の一年草、キノアの種子をいいます。
アンデス山脈で数千年前から栽培され、寒暖差の激しいアンデス山脈に適応し、海抜0mから4000mまでの様々な場所で育ちます。痩せた土地でも栽培が出来るので、インドやモンゴルでも栽培が行われています。
キヌアの栄養
キヌアの栄養価は高く、デンプンの他、蛋白質、リノール酸、オレイン酸、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビオチン、パントテン酸、ビタミンE、葉酸、鉄分、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、サポニン、フィトエストロゲン等が含まれ、食物繊維も豊富に含まれています。
キヌアは100gあたり350㎉ですが、水分を含ませると5倍に膨れ上がるので、実際100g摂取した場合、乾燥のものを20g摂取したことになるので、決して高カロリーではありません。
キヌアには以下の健康効果に期待があります。
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低GI食品
キヌアはGI値とGL値が低いので、食後血糖値を急激に上げないので、血糖の乱高下を起こすリスクが低いのです。
血糖値が上がると、それを下げようと膵臓からインスリンが分泌されます。食後血糖値が急上昇するとそれに伴いインスリンも沢山分泌されます。
血糖値の変動が激しいと膵臓は血糖値を下げる為のインスリン分泌と上げる為のグルカゴン分泌を繰り返し、膵臓からのホルモン分泌に異常をきたしてしまいます。
血糖コントロール不良を起こしてしまうと糖尿病を引き起こすのは勿論のこと、食事だけでのコントロールが困難になると、血糖降下剤やインスリン注射が必要となり、更に合併症のリスクも上がってしまいます。
また、インスリンは太るホルモンとも言われています。血糖値が上がればそれだけインスリン分泌量が増え、最終的に糖分は脂肪細胞に蓄積されてしまうので、肥満に繋がってしまうのです。
キヌアには水溶性、不溶性食物繊維がバランスよく含まれています。
食物繊維によって腸管から余分な糖の吸収を抑え、水溶性食物繊維には血液中の余分な糖や中性脂肪、LDLコレステロールを吸着させて体外に排出させます。
食後血糖値を急激に上げず、食物繊維も豊富であることから、糖尿病、肥満、脂質異常症予防、脂肪肝の予防に役立てることが言えます。
老廃物の排泄を促す
キヌアには水溶性及び不溶性食物繊維が含まれています。
水溶性食物背には短鎖脂肪酸を増やすことによって大腸内のphを弱酸性に傾けます。
弱酸性になった大腸内は善玉菌を増やし、日和見菌が協力することによって善玉菌優位となります。
不溶性食物繊維は善玉菌の餌として善玉菌を増殖させ、腸管内を善玉菌優位にします。
水溶性食物繊維、マグネシウムは便に水分を含ませることで排泄を円滑にさせます。
オレイン酸は腸管内の滑りを良くすることによって排泄を促します。
不溶性食物繊維は腸の蠕動運動を促すことによって排泄を促します。
食物繊維やマグネシウム、オレイン酸によって腸管内の老化物を排泄することによって、免疫力アップや美肌効果等の様々なメリットを得られることに期待があります。
循環器疾患予防
キヌアにはビタミンEが含まれ、強い抗酸化作用があります。
キヌアに含まれるカリウムやサポニンは高血圧予防効果があると言われています。
キヌアにはLDLコレステロールを下げるリノール酸やオレイン酸、サポニンが含まれ、高血圧や動脈硬化の予防にも役立ちます。
キヌアは水溶性食物繊維によって余分な糖分や中性脂肪、LDLコレステロールを排出することによって脂質異常症予防に期待があります。
抗酸化作用は血液中の中性脂肪やLDLコレステロールを活性酸素による酸化から守り、血管壁が傷つくことを未然に防ぎます。
これらの栄養成分の働きが、高血圧、脂質異常症、動脈硬化、血栓症、脳血管疾患、心疾患等の循環器疾患予防に役立てると言えます。
運動時の疲労を抑制
キヌアにはエネルギー代謝時に酵素として利用されるビタミンB群やマグネシウムが含まれています。
糖質の代謝にはビタミンB1が欠かせません。
無酸素運動時の補酵素として活用される上に、無酸素運動から有酸素運動に切り替わるときにもビタミンB1が必要となります。
ミトコンドリア内にてクエン酸回路で行われるエネルギー代謝には、ビタミンB2、ナイアシン等が利用されます。
エネルギー代謝の補酵素として働くビタミンB群によって運動時の疲労を抑制し、エネルギーを効率よく利用することによって、体脂肪を燃焼します。
筋蛋白合成をサポート
キヌアは蛋白質が含まれている上にビタミンB6が含まれ、ビタミンB6は蛋白質の代謝を主に担っています。
キヌアのアミノ酸スコアは85と比較的高く、アミノ酸がバランスよく含まれています。
BCAAの摂取源にもなりますし、筋蛋白合成の促進を支える成長ホルモンの分泌促進にも関与します。
キヌアは筋蛋白合成を支える食品であることが言えます。
免疫力強化
リノール酸はアラキドン酸酸の材料となります。
アラキドン酸には抗アレルギー作用があると言われます。
サポニン、亜鉛、ビタミンCには免疫力を強化させる働きがあります。
ビタミンB2、ビタミンCは粘膜生成に関わり、風邪等の感染症から身体を守ります。
美肌効果
キヌアは抗酸化作用の強いビタミンEが含まれ、紫外線から皮膚がダメージを防ぐことを防ぐと言われます。
サポニンには老化を抑制する働きがあります。
キヌアには蛋白質やビタミンB2が含まれ、皮膚や粘膜の形成に関わります。
また、亜鉛や鉄分も皮膚の形成に関わり、傷口の治りを早める働きがあります。
キヌアは皮膚の健康を保つことによって美肌効果に期待があると言えます。
女性の悩み解決や出産のサポート
キヌアには女性に嬉しい成分も含まれています。キヌアには鉄分、亜鉛、葉酸が含まれており、妊娠中に不足しやすい栄養素が揃っています。
葉酸は細胞分裂に非常な役割を担い、胎児が正常に成長することをサポートします。
鉄分や葉酸は造血作用に関わることから、女性の悩みである貧血の予防や改善をサポートします。
キヌアは亜鉛も含まれ、精子や精液の材料として利用することから男性由来の不妊症改善に期待があります。
これらの栄養成分が男性、女性の出産の成立に繋げることが言えます。
骨形成をサポート
キヌアには骨や歯の材料となるカルシウムが含まれています。
マグネシウムはカルシウムを骨や歯に定着させる働きがあります。
骨や歯の栄養はこの他にも複数ありますが、キヌアは骨形成をサポートする食品の一つであることが言えます。
脳や神経機能の維持
キヌアにはカルシウム、マグネシウム、ビタミンB1、アミノ酸、ビタミンB6、が含まれ、メンタルケアをサポートに関与しています。
カルシウムはマグネシウムには興奮抑制作用があると言われ、マグネシウムには筋肉の緊張の緩和、GABAの持続といった働きがあるとのことです。
ビタミンB1は脳のエネルギー源であるブドウ糖の代謝に関わり、鬱や怒りを抑えたり、脳や神経機能の維持や向上に関わります。
キヌアにはトリプトファン、ビタミンB6、マグネシウム、鉄分が含まれ、これらの栄養成分がセロトニン生成に携わっています。
女性ホルモン様作用
更にキヌアにはフィトエストロゲンという成分が含まれています。
これは女性ホルモンに似た働きをしているので、骨粗鬆症や更年期障害にも良いと言われています。
その一方、フィトエストロゲンは乳癌の発生リスクの報告もあるとのことです。
キヌアの摂り方
キヌアは一度炊いてから料理に使います。キヌアと水の割合を1:2にして10~15分ほど茹でます。キヌアの色が透明になったら鍋をして更に茹で、最後に蒸らします。
キヌアは副作用が特になく、グルテンを含まないのでアレルギーの心配も特にありません。
注意点
キヌアを摂取する際は、以下の点に気を付けましょう。
サポニンの過剰摂取
キヌアに含まれるサポニンは女性に嬉しい働きがある反面、過剰摂取をしてしまうと溶血作用を起こしてしまい、下痢や吐き気などの症状が現れることがあります。
乳癌のリスク
キヌアに含まれるフィトエストロゲンは、大量摂取により乳癌の発生リスクが報告されています。
乳癌の発生リスクを懸念されるのなら、控えめに摂取した方が無難なのかもしれません。
摂りすぎによる体質劣化
キヌアに含まれるリノール酸は生活習慣病予防に良いとされ、アラキドン酸は抗アレルギー作用があると言われます。
しかし、これらオメガ6脂肪酸を摂りすぎてしまうと、逆効果となってしまいます。
オメガ3脂肪酸の摂取比率との兼ね合いからも、摂りすぎてしまうと炎症体質を引き起こすこととなってしまいます。
まとめ
キヌアについてまとめます。
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キヌアは栄養成分が多く栄養価の多い食品ですが、摂りすぎによって健康を害する場合があります。
目安量はだいたい1日30g位ですが、毎日を少量摂る方が健康維持のためには望ましいでしょう。