「鴨南蛮そば」「南蛮漬け」など時々「南蛮」という言葉の入った料理名を目にすることがあります。どのような由来があって「南蛮」と付いたのでしょうか?
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南蛮そばの由来とは?
「鴨南蛮そば」とは鴨肉と葱が入った熱い汁をかけた日本の麺料理です。鶏肉を使用した場合は「鶏南蛮そば」と言います。
語源としては鴨と葱が具に使われたことです。
江戸時代に来日した南蛮人が葱を好んで健康保持のために食べたためと言われています。南蛮到来という言葉が使われたところ、南蛮漬け、南蛮きび(とうもろこし)という言葉が生まれたと言われています。
ただ、「南蛮=葱」という解釈の根拠は乏しいそうです。
また、新しい料理を南蛮と呼ばれたことを由来としている説もあります。
以前、大阪の中心部では「鴨なんば」または「かもなんば」と表記されており、「鴨南蛮」はこの「かもなんば」から音変化したものであるとういう説もあります。
葱が中国大陸から大阪に伝えられ、そこから全国に派生していった事、現在の南海なんば駅周辺に東京ドーム10個分の葱畑が明治時代に存在していた事、大阪の一部では葱を「なんば」と呼んでいた事等、色々な説があります。
南蛮漬けの由来とは?
「南蛮漬け」は魚や肉を揚げて、玉葱や唐辛子、長葱と一緒に甘酢漬けにした料理です。
この唐辛子や長葱と甘酢付けにしたものを「南蛮酢」と呼びます。
つまり「チキン南蛮」とはこの南蛮酢に漬けて調理するので名付けられたと言われます。
「南蛮」とは中国大陸を統治した朝廷が異民族に対して用いていた蔑称
もともと「南蛮」とは中国大陸を統治した朝廷が異民族に対して用いていた蔑称で、日本でも同じ意味で用いられていたそうです。
16~17世紀になり、スペインやポルトガル、ヨーロッパの国々と貿易を始めるようになってから、スペインやポルトガル等の外国を意味する言葉になったそうです。
当時、日本にはなかった料理に「南蛮から伝わった料理」という意味が込められ、現在「鴨南蛮そば」「チキン南蛮」として親しまれています。
葱がよく使われている
この「南蛮」がつく料理には葱がよく使われていますが、葱にはビタミンB1吸収促進、冷え性対策、風邪の初期症状に良いとされています。葱には、特有の刺激臭と辛み成分が含まれています。
これが硫化アリルというものであり、白系のファイトケミカルの一つです。
硫化アリルは胃腸内のビタミンB1を効率よく吸収して、糖質の分解吸収を高めます。エネルギー代謝が活発になるので、疲れが取れ、体力回復に役立つと考えられています。
中医では、葱には体を温める、むくみを改善する、不眠症改善などの効果が期待されています。冷え性や風対策、食欲不振の時にねぎを食べると良いと考えられています。
葱には体を温める効果がありますが、煮込み過ぎてしまうと硫化アリルの働きが悪くなってしまいます。
葱は軽く歯ざわりが残る程度に、加熱しすぎない程度に調理して食べるのが良いでしょう。
葱と唐辛子の組み合わせ
南蛮漬けの葱と一緒に使われる唐辛子には辛み成分のカプサイシンが含まれます。
カプサイシンには殺菌作用、体を温める効果、興奮作用があると言われます。
葱と一緒に摂ることによって、体を温める効果に相乗効果に繋がります。
発汗や脂肪燃焼効果があることから、葱とビタミンB1を含む食品と一緒に摂ると、更に効率よい脂肪燃焼効果が期待できるでしょう。
まとめ
かつて南蛮人が健康保持のため、葱を好んで食べたのは、このような葱の効果を体感してきたからだと考えられています。