メディカルハーブとして重宝されていた「モリンガ」の栄養

モリンガは、インドを原産とするワサビノキ科の植物です。

インド、アメリカ、フィリピン、インドネシアなどの亜熱帯の国々では古来より、薬や美容、健康の為に利用されてきました。

また、インドの伝承医学「アーユルヴェーダ」では、モリンガは5000年以上も前からメディカルハーブとして重宝されていたという歴史があり、「奇跡の木」「命の木」などと呼ばれていました。





 

モリンガの栄養

モリンガは栄養価が高く、アミノ酸、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビオチン、葉酸、パントテン酸、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛、ケルセチン、クロロゲン酸、クロロフィル、ルテイン、ゼアキサンチン、ルチン、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、GABA、食物繊維等が含まれ、全てを言うとキリがなく、地球上の可食植物の中でも群を抜いて多く含まれています。

モリンガの効能を全て語るとキリがありませんが、主に次のような効能に期待があります。

  • 筋蛋白合成
  • 筋肉量低下による疾患の進行遅延
  • 肝硬変非代償期におけるBCAAの補給源
  • 髪や肌を美しくする
  • 強いデトックス作用
  • 糖尿病や肥満等の生活習慣病予防
  • 高血圧予防
  • 冷え、浮腫み、肩こり、腰痛の解消
  • 循環器疾患予防
  • 脳や神経機能の維持
  • エネルギー代謝
  • 目のトラブル予防
  • 骨形成
  • 鉄欠乏性貧血の予防や改善…等



 

筋蛋白合成

アミノ酸は20種類ありますが、その殆どがモリンガに含まれます。モリンガの蛋白質は100g中27gであり、蛋白質が豊富です。

蛋白質は筋肉や皮膚、内臓、髪の毛、爪など身体のあらゆる場所を作るのに必要不可欠です。

モリンガは植物性ですが、全ての必須アミノ酸が含まれております。

必須アミノ酸は動物性食品にも全て含まれますが、動物性食品の過剰摂取は、血中LDLコレステロールの上昇や腸内環境悪化に原因に繋がります。

モリンガには必須アミノ酸が含まれているので、動物性食品に頼らなくてもBCAAを摂取することができます。

BCAA(ロイシン、イソロイシン、バリン)は筋肉の形成に深く関わっています。

筋肉を付けることによって燃焼体質を作るので、ダイエットを効率的に行うための栄養成分となっております。

BCAAは筋力低下防止にも役立つ為、サルコペニアフレイルや介護予防にも役立ち、更に筋力低下の症状が著しく現れるCOPDの栄養管理にも活用されます。

また、BCAAは肝硬変非代償期の肝性脳症の発生防止にも役立ちます。

 

髪や肌を美しくする

モリンガのアミノ酸にはシスチン、グルタミン酸という必須アミノ酸の他に多数のアミノ酸も含まれており、髪の栄養となっているケラチンを作ります。

肌の角質細胞は角質細胞内に存在する天然保湿因子(NMF)にて水分が保持され、NMFの構成成分の6割がアミノ酸とミネラルから出来ています。

肌も角質細胞もケラチンから作られていますので、モリンガに含まれるアミノ酸がハリのある肌を作ります。

モリンガにはポリフェノールやビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが含まれ、抗酸化作用があることから、活性酸素や紫外線による肌の老化から守り、シミやしわの予防に役立ちます。

ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンCは表皮の細胞の生成や粘膜生成に関わり、ビタミンA、ナイアシン、ビタミンC、鉄分、亜鉛はコラーゲン生成に必要となります。

ビタミンCにはメラニンの作用を抑えることから、一度出来てしまったシミやそばかすを目立たなくすると言われます。

 

腸内環境改善と強いデトックス作用

モリンガの食物繊維は水溶性と不溶性の両方が含まれています。

水溶性食物繊維は大腸内の短鎖脂肪酸を増やす働きがあり、短鎖脂肪酸によって腸管のphを弱酸性にします。

弱酸性になることによって善玉菌が優位になり、日和見菌が加担することによって更に善玉菌優位となります。

不溶性食物繊維は善玉菌の餌となり、腸管内を善玉菌優位にします。

水溶性食物繊維やマグネシウムは便に適度な水分を含まれ、老廃物の排泄を促進します。

オレイン酸は腸を刺激して乳化し、便の排泄を円滑にさせます。

不溶性食物繊維、オレイン酸は腸の蠕動運動を促し、排便を促進します。

モリンガにはクロロフィルが含まれ、クロロフィルにはマグネシウムが含まれます。

マグネシウムには、強いデトックス作用があり、有害物質や重金属等の毒物を排泄させます。

老廃物の排泄により腸内環境改善を図り、免疫力アップや感染症予防、太りにくい体質作り等の効果に期待があります。

クロロフィルは、悪臭因子を分解して消臭効果を発揮すると言われます。


 

糖尿病や肥満の予防

食物繊維には腸管から余分な糖分の吸収を抑制する働きがあります。

水溶性食物繊維は血液中の余分な糖分や中性脂肪、LDLコレステロールを排出させる働きがあります。

食物繊維の働きによって、血糖値の上昇を抑え、血液中の中性脂肪や糖分、コレステロールを排出することにより、糖尿病や肥満、脂質異常症、胆石症、脂肪肝等の生活習慣病予防に期待があります。

 

循環器疾患予防

モリンガにはカリウムが含まれ、カリウムは血液中のナトリウム濃度が上昇すると、ナトリウムの排泄を促して血圧を正常値に調節します。

モリンガにはルチンやケルセチンが含まれ、ルチンやケルセチンは毛細血管の血流を促進する、毛細血管を強化する、血圧の上昇を抑制すると言われます。

つまり、カリウムはフラボノイドによって高血圧予防に良いと言えます。

また、血流促進によって冷えや浮腫み、肩こりや腰痛の改善に期待があります。

モリンガには抗酸化ビタミンや数多くのポリフェノールが含まれ、抗酸化作用があります。

抗酸化作用によって血液中の中性脂肪やコレステロールの酸化を抑制し、動脈硬化や血栓症の予防に繋がり、心疾患や脳血管疾患を未然に防ぐことに期待があります。

また、オメガ3脂肪酸、オレイン酸が含まれることからも、脂質異常症を予防し、循環器疾患を未然に防げると言えるでしょう。


 

脳や神経機能の維持

GABAも含まれているので、神経抑制効果によってリラックス効果質の良い睡眠が得られます。

マグネシウムには興奮抑制作用筋肉の緊張緩和、GABAの作用を持続させる働きがあります。

カルシウムには興奮や緊張を緩和させる働きがあります。

ビタミンCにはストレス時に副腎皮質ホルモンの生成に必要とされることから、抗ストレス効果があると言われます。

モリンガにはビタミンB1、マグネシウムが含まれ、脳の唯一の栄養源であるブドウ糖の代謝に大きく食関与します。

ブドウ糖はビタミンB1の働きを受けながら脳の栄養に利用され、鬱や怒りを抑えたり、記憶力や学習力を高める等して、脳や神経機能の維持に寄与します。

モリンガにはトリプトファン、ナイアシン、ビタミンB6、マグネシウム、鉄分が含まれ、これらの成分はセロトニンの材料として利用されます。




 

エネルギー代謝

モリンガにはビタミンB群やマグネシウムが含まれ、解糖系やクエン酸回路によるエネルギー代謝をサポートします。

無酸素運動(筋トレ等)において糖質がピルビン酸に変換される時の補酵素としてビタミンB1、マグネシウムが利用されます。

有酸素運動に切り替わる時にビタミンB1はピルビン酸がアセチルCoAに切り替わるのに必要となります。

アセチルCoAはミトコンドリア内でクエン酸回路にてビタミンB2やナイアシン、パントテン酸によってエネルギーとして利用されます。

このようにビタミンB群が摂取されることによってエネルギー代謝が効率的に行われ、疲労抑制をしながら有酸素運動を無理なく継続していきます。

 

目のトラブル予防

モリンガには紫外線等の有害な光から目を守るルテインとゼアキサンチンが含まれています。

ルテイン、ゼアキサンチンは活性酸素を無害化し、黄斑部を守り視力低下や加齢性黄斑変性症、白内障等の目のトラブルを予防すると言われます。

モリンガには粘膜生成に関わるビタミンB2、ビタミンCも含まれます。

カロテンは体内においてビタミンAに変換し、網膜細胞や光刺激反応に関わり、夜盲症の予防に役立ちます。

ビタミンB2やビタミンCが目の粘膜を強化することによってドライアイや涙目、充血、目の痒み、白内障から守ると言われます。

モリンガにはルテインも含まれ、ルテインはロドプシンという目の色素の生成に関わる成分の材料となり、角膜や水晶体のコラーゲンを安定させる働きがあります。

モリンガにはコラーゲン生成をサポートする鉄分やビタミンCも含まれています。

ルチンには毛細血管を強化したり、血流を促進する働きがあることから、糖尿病の合併症による目のトラブル予防に期待があります。

また、モリンガには強い抗酸化作用があることから、糖化の予防に期待があります。

糖化の予防により糖尿病の三大合併症の予防に繋がり、網膜症から守ると言えます。

このようなことからモリンガは、目の健康をサポートしていると言えます。

 

骨形成

モリンガには骨や歯の成分となるカルシウム、リンとカルシウムを骨に定着させる働きのあるマグネシウムが含まれています。

そして骨芽細胞の生成に必要なビタミンKが含まれます。

身体を構成する蛋白質、骨の形成に必要なコラーゲン生成に欠かせないビタミンC、鉄分も含まれています。

モリンガは骨を丈夫にする食品であることが言えます。

 

造血作用

モリンガには「緑の血液」と言われるクロロフィルが含まれています。

そしてモリンガには鉄分も豊富に含まれます。

クロロフィルは体内に入ると鉄と結合してヘモグロビンの色素となり、血球を増やします。

モリンガには鉄の核酸の合成に必要な葉酸も含まれています。

モリンガには鉄を還元するビタミンCが含まれ、鉄の吸収を促します。

その為、鉄欠乏性貧血の症状改善や予防に良いと言えます。

 

その他

この他にも、モリンガには沢山の効能があり、味覚障害の予防癌予防、免疫力強化等、その効能はキリがない位です。

 

モリンガの摂り方及び1日あたりの目安摂取量

モリンガは抹茶のような風味があります。和風スイーツに活用してみても良いですし、味噌や醤油との相性も良いです。

1日10gを限度に摂取するのが良いとされています。

 

注意点

モリンガは栄養が豊富で優れたスーパーフードですが、以下の件を確認したうえ摂取しましょう。

血圧降下剤の服用

血圧降下剤を服用している場合は、薬の効果を増強することによって、低血糖を起こすリスクがあります。

抗血栓薬の服用

モリンガにはビタミンKが含まれていることから、ワーファリン等の抗血栓薬を服用している場合は、薬の作用を弱めることがあります。

妊娠中

妊娠中の方が摂取すると流産の恐れがあると言われていますが、万が一の為、妊娠中の場合は摂取しない方が無難でしょう。

大量摂取によるお腹の緩み

モリンガには腸内環境改善に良い成分が豊富ですが、大量に摂取するとお腹が緩み、下痢の原因になります。

 

まとめ

モリンガについてまとめます。

  • 筋蛋白合成
  • 筋肉量低下による疾患の進行遅延
  • 肝硬変非代償期のけるBCAAの補給源
  • 髪や肌を美しくする
  • 強いデトックス作用
  • 糖尿病や肥満等の生活習慣病予防
  • 高血圧予防
  • 冷え、浮腫み、肩こり、腰痛の解消
  • 循環器疾患予防
  • 脳や神経機能の維持
  • エネルギー代謝
  • 目のトラブル予防
  • 骨形成
  • 鉄欠乏性貧血の予防や改善…等

モリンガは「メディカルハーブ」と呼ばれるほど、その効能に期待が大きく、モリンガだけでも糖質以外の栄養素を摂れてしまうほどです。

ただ、薬との相互作用には気を付けましょう。


 
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