レシチンは、別名ホスファチジルコリンというリン脂質の一種で、脳や神経組織に多く含まれる生体膜の重要な成分として担っています。
レシチンは約150年前にフランスで発見されました。
レシチンはギリシャ語で卵黄を意味する「レシトス」に由来するもので、卵黄から発見されたことによって名付けられました。
Table of Contents
レシチンの働き
レシチンは、体内に存在するリン脂質の中で最も多くを占め、人間の身体を構成する約60兆個といわれる細胞の全ての細胞膜を構成している主成分です。
脳神経系や血液、各臓器など主要な細胞組織に多く含まれています。
レシチンの働きには次のものが挙げられます。
|
認知症予防
レシチンは、脳の神経伝達物質の合成にも欠かせない為、アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症の予防や改善効果も期待されています。
脳の神経線維はレシチンで出来たミエリン鞘という絶縁質で覆われています。
レシチンが不足すると、ミエリン鞘が傷つきやすくなり、神経線維が大きなダメージを受けると認知症の原因になります。
レシチンの構成要素のひとつであるコリンは、体内に吸収されると脳まで届き、脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンを作る材料となります。
つまり普段からレシチンを摂取することは、アセチルコリンという記憶に関係した神経伝達物資の生成を促進し、脳細胞の破壊を最小限に抑え、記憶力や学習力の保持やアルツハイマー型認知症等の認知症予防に繋がることとなるのです。
脂質異常症予防、動脈硬化予防
レシチンには、水と油の両方の性質を持っているという特徴があります。
レシチンはリン酸、コリン、グリセリン、脂肪酸から構成されています。そのうちリン酸とコリンは親水性、グリセリンと脂肪酸は親油性である為、乳化作用を持っているのです。
この乳化作用が血中のコレステロールをレシチンが溶かし、血管壁に沈着することを防いで、細胞中や血液中のコレステロールの増加を抑制することから、動脈硬化予防効果が期待されています。
HDLコレステロールは比較的レシチンを多く含みます。
レシチンが多いとLDLコレステロールが減り、HDLコレステロールが増えます。
更に肝臓内のコレステロール合成酵素ACATの働きを抑制することも報告されております。
レシチンの乳化作用によって不必要な老廃物や血液中のコレステロールを排泄します。このようにレシチンは脂質異常症の改善や動脈硬化の改善に役立っているのです。
脂質代謝
レシチンの構成要素であるコリンは、肝臓における脂質代謝に関わっています。
レシチンには肝機能を保護する為、肝臓の細胞であるクッパー細胞や多核細胞を増加させ、肝臓内のHDLコレステロールを増やす働きがあることが知られています。
老廃物排泄による美肌効果
レシチンの乳化作用は、細胞内に栄養を取り入れたり、細胞から不必要となった老廃物や血液中のコレステロールを排出します。
このような働きにより、レシチンには美肌効果があると言われます。
レシチンには熱損傷よるダメージから皮膚を守る働きがあるとも言われています。
肥満予防
レシチンは、細胞の健康維持の為に、細胞内に酸素や栄養を取り入れたり、細胞から不必要となった老廃物を排出する働きによって、エネルギー代謝効率化を図ることが出来ると言われます。
したがって、血糖値の低下や肥満予防効果が期待され、また脂質代謝促進により肝臓内への脂肪蓄積を防ぐことから、脂肪肝や肝硬変の予防及び改善に効果があると言われます。
レシチンを含む食品
レシチンは大豆、大豆製品、ピーナツ、卵黄、銀杏、ウニ、ウナギ、レバーに含まれています。
レシチンは大きく分けると大豆レシチンと卵黄レシチンの2つに分けられます。
大豆レシチンは動脈硬化や脳卒中、高血圧症等の循環器疾患予防及びダイエット効果に優れており、卵黄レシチンは大豆レシチンに比べ、ホスファチジルコリン含有量が多く脳機能改善効果が優れています。
副作用は?
レシチンは通常の食品に含まれる成分であり、普段通りの食生活を送っていれば、副作用や健康被害は特にないと言って良いでしょう。
特に医薬品との相互作用についての報告もありません。
但し、常用として服用しているものや、相互作用が心配な場合は医師に相談すると良いでしょう。
レシチンは大量摂取をすると、下痢や腹痛が起こる場合があります。
まとめ
レシチンの働きについてまとめます。
|
レシチンは細胞膜を作るという大事な働きがあります。
日常の食生活にレシチンを含む食品を取り入れていきましょう。