生体内に微量に存在する「クロム」の働きとは?

クロムは人間が体内で微量に必要とするミネラルです。

しかし、クロムの体内における作用や必要量は明確になっておりません。

クロムは主に2種類のものが知られています。

1つは3価クロムであり、こちらは生物学底活性があり、食品に含まれています。

もう一つは6価クロムであり、産業汚物の産物であり、有毒な物質です。従って、栄養分として必要なものは3価クロムとなります。





 

クロムの働き

クロムはインスリンの働きを促進することが知られています。

インスリンは体内の炭水化物、脂質、蛋白質の代謝と貯蔵に大きく影響を与えるホルモンです。

糖尿病の治療、血中脂質濃度の低下、体重減少の促進、体組成の改善など健康状態に関係している可能性があることから、長年関心を集めていました。

クロムは肉、全粒穀物製品の他、一部の果物や野菜、スパイス等に含まれています。一方ショ糖や果糖などの単糖類が多く含まれる食品には含有量が少ないと言われています。

クロムはインスリンの働きを助ける作用があることが1975年に分かりました。

クロムの働きには次のものが挙げられます。

  • 炭水化物の代謝に関わる
  • 糖尿病予防
  • 動脈硬化予防

 

炭水化物の代謝に関わる

クロムは体内に吸収された後、アルブシンやトランスフェリンという糖たんぱく質と結合して全身に運ばれます。

クロムは体内でインスリンの働きを助けながらあらゆる代謝に関わります。

食事から摂った炭水化物は体内で分解されてブドウ糖になり、血液に吸収され、インスリンにより筋肉に取り込まれたものはエネルギーとして使われ、肝臓や筋肉ではグリコーゲンとして蓄えられ、過剰分は脂肪細胞に蓄積されます。

 

糖尿病予防

クロムは亜鉛と協力しながらインスリンの働きを助ける作用があります。

その為、食後の血糖値の急激な上昇を防ぎます。

ところがクロムが不足するとインスリンが上手く働かない為、ブドウ糖を筋肉や肝臓に取り込むことが出来なくなってしまい、エネルギーとして活用されなくなります。

本来筋肉や肝臓に取り込むべきブドウ糖は脂肪細胞に蓄積される上、更に血糖コントロールが困難になります。

血糖コントロール不良が続くと、糖尿病に罹患するリスクが高くなります。

Ⅱ型糖尿病では膵臓からのインスリン分泌が正常に行われますが、クロム不足によりインスリン抵抗性が発生し、高血糖を起こしてしまいます。インスリンは更に血糖値を下げようと分泌します。

「太るホルモン」と言われるインスリンの過剰な分泌に併せ、ブドウ糖による脂肪細胞蓄積によって肥満を招いてしまいます。

普段の生活の中で糖尿病の予防は重要となります。

食事や運動等の生活習慣は糖尿病と関わりが深く、日ごろからバランスの良い食事と適度な運動を心がけることによって誠克習慣病の予防に繋がります。

日頃から野菜を摂ることを心がけ、動物性脂肪や砂糖を多く含む食品を控え、薄味を習慣づけることが大事です。

亜鉛はクロムの働きを助ける作用があります。

膵臓のβ細胞内で亜鉛が不足すると、インスリンが勝手に送り出され、インスリンの蓄えも減少します。

膵臓に蓄えられたインスリンが不足すると、血糖値下げる時にインスリンを十分に分泌出来なくってしまうのです。

 

動脈硬化予防

クロムは炭水化物、脂質、蛋白質の代謝によって生命を維持しています。

特に脂質代謝では、脂肪酸やコレステロールの合成を促進することによって脂質代謝を活発にし、血液中の中性脂肪やLDLコレステロール値を正常に保ち、動脈硬化や高血圧の予防に役に立ちます。

 

欠乏症及び過剰摂取障害

クロムは多くの食品に含まれ、必要量も微量な為、通常の食事で欠乏症が見られることは殆どありません。

欠病症状は糖の代謝異常、脂質・蛋白質の代謝異常、成長障害、角膜の病気、動脈硬化、脂質異常症が見られます。クロムの欠乏はクロムを全含まない静脈栄養を長期間行うことによって起こしてしまいます。

クロムの過剰摂取による健康障害も通常の食事を摂っていれば殆ど起こりません。

サプリメントによる過剰摂取を長期間に及んで摂取した場合、吐き気や下痢の症状を起こしてしまうことがあります。

 

まとめ

クロムの働きについてまとめます。

  • 炭水化物の代謝に関わる
  • 糖尿病予防
  • 動脈硬化予防

クロムは殆どの食品に含まれている為、不足の心配はそれほどありませんが、クロムを多量摂取しすぎても、特にメリットはありません。

 
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