皮下脂肪や内臓脂肪の燃焼に関わるアミノ酸「カルニチン」

ダイエット効果として注目されているカルニチン。

このカルニチンはアミノ酸の一種であり、肝臓でリジン、メチオニンから生成されます。

カルニチンにはLカルニチンとDカルニチンがあり、脂質代謝に関与しているのはLカルニチンです。





 

カルニチンの働き

カルニチンの働きには以下の通りです。

  • 脂質代謝
  • 疲労抑制
  • 生活習慣病予防…他

 

脂質代謝

脂肪細胞は通常、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられています。

身体に蓄えられた脂肪は分解されて脂肪酸となり、脂肪酸とカルニチン融合することによってミトコンドリア内に運ばれた後、燃焼します。

カルニチンはこの体内の脂肪燃焼によって、エネルギーに変えるために必要不可欠なのです。

また、カルニチンは脂質からエネルギーをつくり出す脂質代謝に関わっているため、筋肉や心筋を持続的に動かす役目があります。

カルニチンが不足するとこの代謝が上手くいかないため、疲れやすくなります。

 

疲労抑制

人の身体のエネルギー源として「炭水化物」「脂質」「蛋白質」の3つがありますが、炭水化物はすぐエネルギーとして利用され、主に無酸素運動のような瞬時的なものに利用されます。

これが持続的なものになると炭水化物だけでは賄いきれなく、蓄積している脂肪から利用されます。

有酸素運動のような持続的なものに利用される時に、カルニチンを摂取していると疲れにくいうえに脂肪燃焼を効率的に行うことができます。

これは、ブドウ糖が燃焼されると副産物として乳酸が生成されますが、脂肪は体内にカルニチンが存在する時は運動時に乳酸が生成されないため、疲労感及び慢性的な疲労やだるさを抑えます。

生活習慣病予防

カルニチンによる脂肪燃焼は肥満予防につながり、糖尿病、高血圧、脂質異常症、痛風などの生活習慣病予防に役立つことに期待があります。

 

その他の働き

その他に記憶力の増強、免疫力の向上、不妊の改善の効用があるとのことです。

 

カルニチンの欠乏

体内のカルニチンは75%が食事から賄い、25%が肝臓と腎臓で合成されます。

したがって、外部から補給できない状況に陥ったとしても、生命活動に必用な量な体内で合成されているため、通常はカルニチンが欠乏することはないのです。

ただし、特殊な病態下においてカルニチン欠乏のリスクが問題となっております。

カルニチン欠乏の要因として大きく3つがあります。

  1. 先天性の異常によるものであり、これにはカルニチントランスポーター異常症、有機酸代謝異常症、脂肪酸代謝異常などが挙げられます。
  2. 2つ目は後天的医学的条件によるものです。肝硬変、腎不全、未熟児によって生合成が低下するもの、長期に渡る静脈栄養、経管栄養、飢餓によって摂取量が減少するもの、妊婦や授乳婦、未熟児に見られる体内貯蔵の低下のよるものが挙げられます。
  3. 3つ目は医療行為によるものです。透析、抗てんかん剤や抗生剤などの薬剤によるものがこれに当てはまります。

欠乏症状

カルニチンが欠乏すると脂肪酸がエネルギー源として利用されるという生理作用が損なわれます。

更に各臓器への脂肪蓄積と、肝臓での機能不全に伴う脳症・低ケトン性低血糖・高アンモニア決勝、骨格筋での筋力低下、心臓での心筋症・心不全など広範囲で多岐にわたる症状が出現します。

カルニチン欠乏症の明確な診断基準はありませんが、遊離カルニチン濃度が20μ㏖/ℓ以下を基準としているケースが多いです。

また、カルニチンの合成量は20代でピークになり、その後加齢に伴い合成量が減少し、60代になると20代の6割程度になります。更に体内での合成量も低下します。

腎疾患により食品からの蛋白質摂取が制限されると、カルニチン不足に陥りやすいです。このような場合はサプリメントやカルニチンを含む栄養補助食品を活用する良いでしょう。

 

カルニチンを多く含む食品

カルニチンは肉類、特に羊肉、牛肉に多く含まれます。

マトン100g当たり209㎎、ランプ100g当たり131㎎、ラム肉100g当たり80㎎、豚ロース肉100g当たり70㎎含まれています。

肉類ほどではありませんが、貝類にも多く含まれ、あさり100g当たり24㎎、牡蠣100g当たり23㎎含まれています。

赤貝は肉類並みに含まれ100g当たり108㎎含まれています。

魚ではアジ、サンマが比較的多く含まれアジ100g当たり14㎎、サンマ100g当たり17㎎含まれています。

 

過剰摂取障害及び目安摂取量

1日3g以上摂取すると過剰障害として吐き気、嘔吐、下痢、体臭の症状が現れます。

サプリメントで摂取する場合は1日あたりの摂取量を守ることです。

目安としては1日1000㎎以下に抑えておくと良いでしょう。

 

カルニチンを効率よく摂るには?

カルニチンとセットで摂ってもらいたい栄養素はビタミンB2、コエンザイムQ10です。

ビタミンB2は脂肪の代謝を促す働きがあり、コエンザイムQ10には抗酸化作用による身体の酸化防止及び、ミトコンドリアでのエネルギー産生を助長することからカルニチンと相性が良い成分とされています。

 

まとめ

カルニチンの作用についてまとめます。

  • 脂質代謝
  • 疲労抑制
  • 生活習慣病予防…他

カルニチンは健康で通常通りの食事を摂れていれば不足は殆ど見られませんが、治療食によって蛋白質が制限されたり、特殊環境に置かれると不足する場合があります。

 
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