アンセリンは動物の筋肉中に存在するイミダゾールペプチドの一種であり、β-アラニンとメチルヒスチジンが結合した物質です。
マグロやカツオ、鮭などの回遊魚に含まれ、疲労回復効果に期待のある成分です。元々は魚の旨味成分として注目されていたそうです。
アンセリンとカルノシンは非常に酷似した構造をしています。アンセリンが主に魚類に含まれる一方、カルノシンは主に肉類に含まれています。
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アンセリンの働き
アンセリンには以下の働きがあります。
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疲労回復
アンセリンは疲労回復作用に注目されています。
アンセリンは抗酸化作用によって活性酸素の産生を抑制すると言われます。
そして、乳酸分解促進作用によって疲労抑制があると言われます。
マグロ等の回遊魚の筋肉中に存在し回遊魚が長距離を高速で泳ぐことから、そのパワーの秘訣はアンセリンによるものではないかと考えられています。
更にアンセリンには持久力を高める働きがあるとされ、有酸素運動を効率的に行える成分であることが言えます。
元々アンセリンを含む食品はアミノ酸スコアに優れた魚であることから、ビタミンB群と摂取すると更に疲労抑制効果に期待があり、筋蛋白合成によって引き締まった身体を作り、脂肪燃焼しやすい身体作りに期待があると言えます。
脳疲労改善
脳疲労はストレスによって脳内に活性酸素が過剰に蓄積することによって、内側前頭葉皮質の炎症の発現が有害な作用が引き起こされた症状です。
イミダゾールペプチドであるアンセリンは、吸収時にβアラニンとメチオヒスチジンに分解され、血液脳関門を通過します。
血液脳関門は脳に有害物質を侵入させないためのフィルターとしての役割があります。
βアラニンとメチオヒスチジンは、脳に到達するとイミダペプチドを再合成し、抗酸化作用によって活性酸素の作用を抑制します。
このようなことから、脳の疲労回復や精神安定、認知症予防に期待があります。
心疾患、脳梗塞予防
アンセリンの抗酸化作用は血液中のコレステロールや中性脂肪の酸化を抑制すると言われます。
酸化した中性脂肪やLDLコレステロールは血管を傷つけやすく、血栓を作る原因となっています。
血栓が出来ると血管内が狭くなり、血管が硬化します。
血中の中性脂肪やLDLコレステロール値が上昇すると血液はドロドロになり、ドロドロにはった血液が血栓によって狭くなった血管を通ると血管が狭窄を起こしやすくなります。
抗酸化作用は血液中の脂質の酸化防止によって未然にこのような症状を防ぐと言われます。
アンセリンは魚類から摂取した場合、同時にHDLコレステロールも摂取出来る為、血液中の中性脂肪やLDLコレステロールを減らすことに期待があります。
その為、アンセリンには動脈硬化をはじめとする循環器疾患予防に期待があるとされます。
抗酸化作用
アンセリンには抗酸化作用があることから活性酸素によって肌がダメージを受けることを防ぐ働きがあると言われます。
魚の脂質であるオメガ3脂肪酸は大変優れた油ですが、非常に酸化しやすいという欠点があります。
抗酸化作用は油の劣化を抑えることによって油の持つ健康効果を保持すると言えます。
皮膚の形成
アンセリンを含む魚類に豊富な蛋白質は、細胞の材料となることから皮膚の形成にも関わり、肌を健康的に保つ効果に期待があります。
生活習慣病予防
アンセリンには尿酸の排泄を促進する働きがあると言われます。
尿酸値上昇の原因はプリン体を多く含む食品の必要以上の摂取として挙げられますが、プリン体は体内でも生成されます。
その為、食事でプリン体を含む食品を制限しても尿酸値が改善されない場合があります。
尿酸値が高いと痛風を起こしやすくなることはよく知られていますが、この他にも腎不全、高血圧症、動脈硬化、胆石症等の発症リスクも伴います。
アンセリンにはプリン体の生成を抑え、体外への排出を促すと言われます。
但し、過度の飲酒プリン体の産生を促してしまう上に活性酸素を増やしてしまいます。蛋白質源を動物性食品から摂るのであれば、いくらやすじこ等の魚卵やレバー等の臓物の摂取を控え、アンセリンを含む魚を摂取した方が良いでしょう。
また、身体の症状によっては蛋白質を制限するように医師から指示を受けることがあります。
もし、蛋白質を制限しなければならないのであれば、サプリメントで補充する方法もあります。
このような症状を予防するためにも、普段から正しい食生活、運動習慣、休養、ストレスケアを心掛け、コンディションを整えることも心がけましょう。
アンセリンの働き
アンセリンの働きについてまとめます。
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アンセリンを含む食品の多くが魚です。
魚は蛋白質、アミノ酸、脂質の観点から優れた食品でありますが、アンセリンによる効能にも期待があります。
基本は栄養バランスの取れた食事ですが、蛋白源には出来るだけ魚類を取り入れるようにしましょう。