アマランサスは中南米を原産とするヒユ科の一年草です。
アマランサスは古代インカ帝国において、主要な栄養源として4000年以上前から栽培されていた穀物です。
アマランサスは雑穀に似ていますが、実際は疑似雑穀に分類されます。
植物性の食品でありながら蛋白質が豊富に含まれ、アミノ酸の摂取源として活用出来る食品です。
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アマランサスの栄養
アマランサスにはカルシウム、鉄分、蛋白質(アミノ酸)が豊富に含まれ、アミノ酸では特にリジン、メチオニン、フェニルアラニンが多く含まれています。
この他にもビタミンB1、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、マグネシウム、リン、マンガンが含まれます。
アマランサスには次のような健康効果に期待があります。
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メンタルヘルスの向上
アマランサスのアミノ酸にはリジン、メチオニン、フェニルアラニンが多く含まれています。
リジンは抗体やホルモン、酵素等の素材となります。
ケガの修復を早め、ヘルペスや湿疹の改善等にも良いと言われます。
メチオニンやフェニルアラニンには精神機能を安定させる働きがあると言われます。
メチオニンには鬱病を改善する働きがあります。
フェニルアラニンは脳内の神経伝達物質の材料となり、精神安定や集中力・注意力の増進といった効果があります。
また月経前の不快な気分を抑制する働きがあります。
アマランサスにはビタミンB6が含まれ、このようなアミノ酸の働きをサポートします。
ビタミンB1は糖質の代謝に関わり、脳の栄養源であるブドウ糖を代謝することによって脳機能や神経機能の維持を図ります。
カルシウムとマグネシウムも含まれていることから、副腎皮質ホルモンの生成や分泌を促す効果も持っており、更にストレスを和らげる働きがあるのです。
女性の悩みに応える
アマランサスには葉酸や鉄分、亜鉛が多く含まれるので、貧血症状のある方や妊娠中の方にお勧めであり、妊娠中に不足しやすい栄養素を補給することが出来るのです。
キヌアにも葉酸、鉄分、亜鉛が豊富ですが、キヌアと違うところは、フィトエストロゲンが含まれないことです。
フィトエストロゲンは、更年期予防に効果的ですが、一方乳癌の発生リスクがあると言われています。
アマランサスにはフィトエストロゲンが含まれていないので、乳癌の発生リスクの心配をせずに栄養素を補給することが出来ます。
皮膚の形成
鉄分、亜鉛は褥瘡防止や皮膚の形成にも役立ちます。
但し、低たんぱく血症を起こしていると鉄分の効果が十分に発揮できません。
低たんぱく血症の原因には炎症や腫瘍によるもの、栄養吸収障害によるものがありますが、特にこのような症状がない場合は蛋白質をしっかり摂ることによって血液中に反映されます。
鉄分と併せ蛋白質を摂ることによって、褥瘡の予防や改善に役立ちます。
更に亜鉛が褥瘡の治癒を促してくれます。
アマランサスは蛋白質、アミノ酸、ビタミンB6が含まれており、組織の形成に大きく関わります。
アミノ酸の中には成長ホルモン分泌を促進するものもあり、成長ホルモンの分泌が促進されることによって肌の新陳代謝が促され、傷の治りを早めたり、若さを保つことが可能になると言えるのです。
筋蛋白合成
アマランサスには蛋白質が多く、アミノ酸組成にも優れています。
また、筋蛋白合成を促すビタミンB6も含まれています。
アミノ酸組成に優れているということはBCAAも含まれていることであり、筋肉の合成を促すことに期待があります。
そしてアミノ酸の中には成長ホルモンの分泌を促進するものもあり、成長ホルモンは筋蛋白合成をサポートします。
筋肉量が増えることは体脂肪率低下にも繋がり、有酸素運動によるダイエット効果を得られやすくなります。
また、筋肉を作るということは筋肉量の低下を防ぐこととなり、介護予防にも繋がります。
骨形成に関与
アマランサスにはカルシウムとマグネシウムが豊富に含まれ、マンガンも含まれることから骨の形成に関わっています。
アマランサスにはアミノ酸が含まれ、リジンには肝機能を高める効果もあるため、糖や脂質などの各栄養素の代謝を促進するとともに、カルシウムの吸収を助ける働きがあるとされます。
カルシウムは骨の栄養となりますが、血中カルシウム濃度が下がると血液中に流出します。
カルシウム摂取量が不足すると、骨密度の低下を招きます。
この為にはカルシウムの補給が大切になります。そしてマグネシウムはそのカルシウムを骨に定着化させる働きがあります。
更年期障害で骨密度の低下を起こしやすい場合、カルシウムとマグネシウムの両方を含むアマランサスを摂取することをお勧めします。
アレルギーの代替えとして
アマランサスにはアレルギー物質が含まれていないのです。
その為、最近ではアレルギーの方の代替え食材としても活用されています。
アマランサスの食べ方と1日あたりの目安摂取量
アマランサスは生のままでは消化が悪いので、加熱してから用います。フライパンで乾煎りするか、鍋に水を張って30分程茹でておくのです。
料理として用いるにはサラダやスープの中に入れたり、クッキーやパンケーキのような焼き菓子に混ぜるという方法があります。また、お米と一緒に炊くと手軽に摂ることが出来ます。
1日に摂取目安量は諸説がありますが、100g以内にしておくのが良いでしょう。
アマランサスには蛋白質が豊富に含まれていますので、普段から蛋白質の多い食事を摂っている場合はスプーン1杯程度にしたり、野菜中心の方には多めに摂るなど、蛋白質の摂取状況に合わせて、アマランサスの使用量を調整して摂ります。
注意点
重度の腎不全患者や肝硬変により血中アンモニア濃度が高くなっている場合、高蛋白食は体内の毒素を増やしてしまい、更に病状を悪化させる危険性があります。
また、蛋白質の大量摂取を継続的に行っていると、血中クレアチニン濃度が常に上昇している状態となり、腎炎を起こしかねません。
腎炎が慢性的になると腎不全に移行してしまい、食事制限を行う羽目になってしまいます。
このような病状を呈していて、尚且つアマランサスからの栄養成分を摂りたい場合は、他の食材からの蛋白質の摂取を控え、アマランサスも少量に留めておく方が安心でしょう。
まとめ
アマランサスについてまとめます。
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アマランサスは不足しやすいミネラルの供給源として活用出来る食品と言えます。
近年、アマランサスのコレステロール低下作用、インスリン様作用、マクロファージ系活性作用などによる抗癌作用なども報告されています。