リン酸塩は何故、骨をもろくするのか?心臓疾患のリスクも…

リン酸塩は食品添加物として、ハムやソーセージ、インスタントラーメン、プロセスチーズ、魚介練り製品等の加工食品に使用されています。

また、ファミレスのコーヒーにもリン酸塩が使用されています。

何故、リン酸塩が使われているのかというと、着色料の色素の変化を防いだり、食品の食感を保持するために使用されています。





 

リン酸塩とは?

リン酸塩とは、様々な塩基が結合されている無機塩類を総称したものです。

リン酸のリンは骨や歯の材料となるミネラルです。

このようなことから、加工食品を摂るとリンを摂取出来るのです。

リン酸塩を使用する目的には次のものがあります。

  • 着色料の変色を防いで見た目の新鮮さを保つ
  • ビタミンCの分解防止
  • 非水溶性物質の結晶化の抑制
  • 食感の保持
  • 乳化剤としての役割

リン酸塩が実際に商品に使用されているかどうかは分かりにくく、リン酸塩は添加物としての記載を義務付けられていません。

但し、乳化剤、ph調整剤、酸味料、決着剤として使用した時に限り表示が認められる

ため、これらの表示がされていればリン酸塩が使用されているかもしれないとしか判断が出来ません。

リン酸塩は大きく分けると「オルトリン酸塩」「重合リン酸塩」に分けられます。

このうち重合リン酸塩は人体に存在しない物質です。

 

リン酸塩が人体に与える影響

毎日のように加工食品を摂っていれば、リン酸塩の摂取もこれにともない増えてしまいます。

カルシウムの排出

加工食品の大量摂取が骨をもろくするのは、カルシウムとリンの摂取比率バランスが崩れるからです。

リンも骨や歯の材料となりますが、リンはカルシウム、マグネシウムと拮抗するため、リンの過剰摂取はカルシウム、マグネシウムの吸収を妨げます。

加工食品の摂取とともに栄養バランスの崩れがあると、更に骨形成に必要な栄養が摂れなくなってしまいます。

骨を丈夫にしたり、子供の身長を延ばすにはカルシウムは大切ですが、これには、カルシウムとマグネシウムとリンのバランスを整えるとともに、ビタミンD、ビタミンK等、骨形成に関わる複数の栄養素を摂ることが必要です。

ミネラルの吸収阻害

重合リン酸塩はミネラルと結合する性質があります。

しかし、重合リン酸塩そのものが吸収されないため、ミネラルと結合した状態で体外に排出されてしまいます。

その為、リン酸塩の過剰摂取は、あらゆるミネラルの吸収を阻害してしまいます。

例えば、鉄分の吸収が阻害されれば赤血球に栄養が与えられず、身体は疲労しやすくなります。

鉄分はセロトニン生成にも携わったり、パニック障害の症状を抑えることから、不足するとメンタル面での不調を呈してしまいます。

ミネラルの吸収が阻害されれば、栄養素の代謝や抗酸化作用としての働き、組織の形成としての働きといったミネラルが持つ様々な作用が妨げられるため、心身共に健康を害し、老化を促進させてしまいます。

石灰化

重合リン酸塩はカルシウムに対する吸着性が著しいことから石灰化の原因となり、腎結石や胆石症を引き起こしてしまいます。

また、透析患者の心血管死亡リスクは、冠動脈石灰化が起因していることが報告されています。

元々透析患者の場合、腎臓からの排泄機能が低下しているため、体内にリンが蓄積されやすくなります。

そのため、低カルシウム血症と高リン血症を同時に引き起こしてしまいます。

これが二次性副甲状腺機能亢進症を引き起こし、骨吸収といって血液中のカルシウム濃度を上げるために骨からカルシウムを血液中に吸収させ、余計に骨をもろくします。

血液中のカルシウム濃度が高くなり過ぎ、リンとともに血中濃度が上がると、ハイドロキシアパタイトという物質が血液中に増えます。

ハイドロキシアパタイトとは、骨や歯を丈夫にするための結晶ですが、これが血液中に増えることによって、通常なら沈着しない皮膚や心臓、血管、筋肉、肺などに沈着して石灰化を起こしてしまいます。

その為、透析を受ける場合、重合リン酸塩による心血管トラブルが高まると言えるのでしょう。

 

まとめ

ここではリン酸塩についてまとめましたが、加工食品の日常的な摂取のデメリットはリン酸塩ばかりではありません。

食品添加物の摂り過ぎは、次第に身体に蓄積して健康を害するようになりますが、加工食品に用いられている原材料にも危険が孕んでいます。

食事は出来るだけ自炊したものを召し上がりましょう。

 
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