クレアチニンとは人間の身体から排泄される老廃物の一種です。
クレアチンリン酸という筋肉が運動するために重要なエネルギー源となる物質が代謝されると、クレアチニンという老廃物となり、腎臓で濾過された後に尿として排泄されます。
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クレアチニンとは
クレアチニンとは、アミノ酸の一種であるクレアチンが代謝することによって産生される物質です。
クレアチニンはアルギニン、グリシン、メチオニンといったアミノ酸からなり、肝臓、腎臓、脾臓で合成され、筋肉を動かす時に必要なエネルギー源となります。
クレアチニンは殆どが骨格筋内に存在し、そのうちの6割がリン酸化したクレアチニンリン酸として存在しています。
ここではクレアチニンがとても重要な役目を持っているのです。
このクレアチニンは尿として対外へ排出する際に必ず腎臓を通過します。
腎機能が正常な時はクレアチニンが腎臓の糸球体で濾過された後、殆ど再吸収されず、尿と一緒に排泄されます。
腎機機能に異常が見られる時は、クレアチニンが糸球体で濾過しきれずに血液中に再吸収されてしまうのです。
もし、クレアチニンが正常値を外れていた場合は、様々な疾患の可能性が考えられます。
クレアチニン値に異常が見られると?
クレアチニン値は基準値より高い場合でも、低い場合でも、何等かの疾患を持っている可能性があると見られています。
これはクレアチニンが筋肉運動の代謝で出る老廃物であることから、高いか低いかで異常内容を判断することが出来ます。
クレアチニン値が高いと腎臓のろ過機能の低下が考えられる
クレアチニン値が高いと腎臓のろ過機能が低下していると考えられます。
特に2㎎/dl高いと腎機能が急激に悪化し、腎臓に関する病気を患ってしまうことがあるからです。
もし自覚症状に浮腫み、血尿、蛋白尿が見られた場合は急性腎炎又は慢性腎炎である可能性があります。
急性の場合は安静にしていれば改善されますが、慢性の場合は長時間に渡り、炎症が続く上に不可逆的なので、少しずつ腎機能が低下していきます。
腎炎にかかり、腎臓で濾過している糸球体の網目が詰まると腎機能が低下し、老廃物を十分に排泄できなくなります。この症状が腎不全です。
急性腎不全の場合は症状が治療によって回復が可能ですが、慢性腎不全になると腎機能が徐々に衰えてしまう為、回復の見込みがなくなってしまいます。
慢性腎不全には進行具合によってステージが分けられ、更に老廃物の排泄が出来なくなると、人工透析に至ってしまいます。
腎不全が悪化すると尿毒症を起こします。
腎臓には老廃物の排泄の働き以外に水分調整やホルモン分泌の働きもあります。
尿毒症になると腎臓が本来持っている機能が全く働かなくなります。
腎機能が悪化して良くないことはこれだけではありません。
腎機能が低下すると、悪化防止の為に塩分や蛋白質、リンの制限を行うようになります。
ステージが進むとカリウム制限を行うようになります。
そうすると非常に薄味で野菜や果物は加熱処理してカリウムを茹でこぼした状態で召し上がるので、塩気もなければ素材の味も感じない美味しくない食事を我慢して食べることとなるので、食べることが苦痛となってしまいます。
厳しい食事制限が「食べる楽しみ」を失ってしまうのです。
更に人工透析が必要となると、透析の為の通院時間を設けなければなりません。
このように時間が拘束されてしまうという意味でも腎機能が悪化することはいいことがないのです。
クレアチニン値が低いと筋疾患の罹患が考えられる
逆にクレアチニン値が低いと筋肉で正常な代謝が行われず、筋肉の病気を引き起こします。
筋肉が萎縮し、少しずつ機能が損なわれていく「筋ジストロフィー」、脳や末梢神経から筋肉へと伝える運動ニューロンが何等かの要因によって動かなくなる「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」、筋肉に炎症が起こる「多発性筋炎」などがクレアチニン値が低くなることによって引き起こされる疾患です。
更に糖尿病や尿崩症の初期症状があります。
クレアチニン値を正常に保つには?
クレアチニン値の正常値を維持出来るためには、普段の食生活の摂り方が大切です。
蛋白質は皮膚や筋肉、内臓など身体のあらゆる所を作るための大事な栄養素ですが、摂りすぎてしまうと、尿素窒素が増えてしまいます。
一週間程度でしたら腎臓にそれほど負担をかけませんが、長期に渡って尿素窒素が多い状態が続くと、自覚症状がないにも関わらず、腎臓を少しずつ傷めつけてしまいます。
健康な方の場合、1日の蛋白質の摂取量は「体重(㎏)×係数(1.0~1.2)」が目安となります。
但し、慢性腎不全や糖尿病性腎不全の場合は進行ステージによって係数が変わります。
日常生活では適度な運動や禁酒、禁煙を心がけることです。
臓器の悪化、食事制限、非経口的栄養補給方法にならないためにも、若いうちから正しい食習慣や生活習慣を心がけると、健康寿命の延伸に繋がり、食べる楽しみも長く続けられることが出来るでしょう。