かつてはストレス解消に一番良いのは飲み会に参加してお酒を飲んではしゃぐことだと思い込んでいました。
食べ放題や飲み放題では元を取ったもん勝ちでした。仕事の飲み会は渋々参加していましたが、プライベートの場でも仲間と交流を図る場と言えば飲み会でした。
仕事等でストレスを抱えていれば、当然身体は蝕んでしまいます。
日ごろの鬱憤を晴らすために大量のお酒を飲むことはその人にとって芯からのストレス解消法になるのでしょうか?
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アルコールの過剰摂取は全ての臓器を痛める
お酒の飲みすぎは臓器に悪影響を及ぼします。
まず最初に思い浮かぶのが「肝臓」ですが、アルコールの摂りすぎによって脂肪肝に罹ってしまいます。
肝臓は沈黙の臓器と言われ、自覚症状がすぐには現れません。
肝機能に異常がないからといって暴飲暴食を続けていると肝機能検査に異常が見つかりますが、もう見つかった時点で手遅れなのです。
それでも飲酒を続けてしまうと肝硬変に至ります。そして最悪の場合肝臓癌になってしまうのです。
肝臓以外にも胃食道逆流、急性胃腸炎、急性膵炎とすべての臓器に悪影響を及ぼします。
消化器系を痛めてしまうということは、栄養吸収障害を招いてしまうのです。
糖尿病の悪化
アルコールは血糖コントロール不良を引き起こします。
肝臓にグリコーゲンとして蓄えられた糖が血液中に放たれ、血糖値が上昇します。
その一方でアルコールは低血糖を起こすこともあります。
特に食事を十分に摂らずに飲酒すると、肝臓のグリコーゲン量が減少することによって低血糖を起こし、アルコールの代謝に伴い糖新生が抑制されます。
アルコールは飲みすぎによってインスリン抵抗性に影響を及ぼしⅡ型糖尿病の原因となりやすいのです。
さらに食欲を抑制するホルモン「レプチン」を減少させてしまいます。
少量なら循環器系に良いものの…
アルコールは少量なら、抗酸化作用や血液凝固抑制作用によって循環器疾患のリスクを抑えると言われます。
しかし、過度の飲酒は心肥大や心機能低下を招いてしまいます。
脳機能に悪影響
過度な飲酒はビタミンB1欠乏症による神経障害、睡眠の質の低下も招いてしまいます。
アルコールはアセドアルデヒド分解の為にビタミンB1が利用されますが、アルコールを多飲してしまうと、それだけ多くのアセドアルデヒドを分解しなければなりません。
そうなると、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)だけでは分解が間に合わなくなります。
間に合わなくなった分のアルコールをAKDH2によって酢酸に分解されるルートと別のルートから分解します。
それは、アセトインを生成するルートです。
アルコールからアセトインを生成するときに、更に多くのビタミンB1を消費します。
その為、アルコールの多飲はビタミンB1不足を引き起こしやすくなるのです。
更にアルコールは脳への健康被害を引き起こしてしまいます。
飲酒習慣のある人はない人に比べて脳が委縮していると言われます。
アルコールの多飲はウェルニッケ脳症を起こすと言われます。
ウェルニッケ脳症の症状には、眼筋失調、歩行障害、運動失調が見られるとのことです。
ビタミンB1はブドウ糖が脳のエネルギーとして代謝される際に必要な栄養素であり、ビタミンB1が不足してしまうと、記憶力や学習力が低下し、認知症を発症しやすい上に、感情のコントロールが上手く出来なくなります。
アルコールの適度な摂取は副交感神経を優位にしますが、度を超えて摂取してしまうと交感神経が優位となり、自律神経を乱してしまいます。
アルコール依存症なると鬱病を合併しやすくなります。
この原因はアルコールの多飲によって鬱を発症する場合と、鬱によってアルコール依存症になるパターンがあります。
痛風
尿酸値を上げやすい食品として、ビールや食肉加工品、臓物が挙げられます。
特に男性の場合は体質上、尿酸値が高くなりやすく痛風を起こしやすくなります。
尿酸値が高くなると、痛風だけでなく、腎不全、高血圧症、動脈硬化、胆石症等の発症リスクを高めてしまいます。
癌のリスク
アルコールは肝臓癌ばかりではなく、喉頭癌、咽頭癌、喉頭癌、食道癌、乳癌、大腸癌のリスクに繋がります。
アルコールとアセドアルデヒドには発癌性があると言われます。
女性の乳癌発症リスクはアルコールを飲む人よりも飲まない人の方が1.75倍もの乳癌にかかりやすいことが国立がんセンターの研究によって確認されています。
平均約13年間の追跡期間中に、572人に乳がんの発生を確認しました。
研究開始時、その5年後、10年後に実施した計3回のアンケート調査への回答から、対象者を「過去に飲んでいた」、「飲んだことがない」、「時々飲む(月に1-3日)」、「週にエタノール換算で150g以下の飲酒」、「週にエタノール換算で150gより多い飲酒」の5つのグループに分けて、乳がんの発生率を比べてみました。
飲酒量が多い、つまり「エタノ-ル換算で週150gより多く飲酒」するグル-プでは、「飲んだことがない」グル-プに比べて、乳がんリスクが1.75倍(約75%)高いことがわかりました。
エタノール換算で150gに相当する飲酒量は、日本酒なら約7合、ビールなら大瓶約7本、ワインなら約14杯(1杯100ml)、ウイスキーならダブル約7杯です。
飲み会は身体だけではなく心にもデメリット?
最近では会社では飲み会を行わない傾向が見られています。
これはアルコールによる健康障害や依存症によって消滅しているというよりは、飲み会がハラスメントの場となっており、仕事のストレス解消且つ親睦を深める場との謳い文句がありながら鬱陶しい存在となっています。
若者の間では「飲み会をやる会社はブラック企業」だと揶揄されています。
かといって、気の知れた仲間同士で飲み会を行っても、アルコールが入ることによって意識が朦朧し、中には異常行動を起こしてその場の雰囲気が悪くなってしまうことがあります。
ストレス解消によって行ったものが精神的にも悪影響を及ぼしてしまいます。
ストレス解消は心と身体のリセットから
日頃溜まったストレスを解消するには、心も身体もリセットすることが本来のストレス解消法ではないでしょうか。
たまには自然の中に身を置いてみると、どれだけ自分の心が切羽詰まっていたかを感じざるを得ません。
また、普段から暴飲暴食が酷い場合は、断食道場を活用して一度疲れた臓器を休ませ、自然の中に身を置いたり、道場の中で行われているヨガなどのプログラムに参加するなどして、心と身体をリセットするのもお勧めです。
アルコールに依存して体調を崩して病院のお世話になるより、寧ろ経済的でしょう。
アルコールに弱い体質の場合は、アルコールによる弊害を起こしやすくなります。
アルコールが体質的に合わないのなら、控えておいた方が身の為です。