置換換気空調システム

置換喚起システムは北欧において発展、利用されている換気方式であり、長年の実績を誇っています。

1970年代に工場等で適応され、1980年代後半には商業施設などの一般環境でも適応されるようになりました。

置換喚起システムが開発された目的は作業環境を改善する為であり、もともとは溶接工業にて導入されていました。

置換換気システムは、床面から給気し、居住層に温度成層を形成し、汚染室は上昇気流に乗せて天井面からの排気口から排出するシステムです。





 

厨房の劣悪な環境

従来の厨房施設においての空調設備は、スポット空調から吹き出してくる空気が、ガスレンジやオーブン、食器乾燥機等の厨房機器から排出される熱い排気をかき混ぜ、換気フードの気流を妨げる為、非常に熱が籠りやすいという問題がありました。

また、熱が籠った状態の為、夏場の熱い時期は厨房内が非常に高温となり、いくら冷房をかけても熱気の方が勝ってしまい、意識が朦朧としやすい環境の中で作業を行っているという状況です。

これが、厨房業務が「きつい」と言われる大きな原因となっており、更に他の要因が伴って人手不足を招いています。

この非常に高温な環境にさらされると、スタッフの体調不良を起こしやすく、更に人手不足や激務な職場環境に歯車をかけます。

 

導入による身体的負担の軽減

最近では、厨房施設においても置換喚起システムを導入するようになってきています。

温かい空気は膨張されている為、密度が低いので上昇する特徴があり、冷たい空気は圧縮されているので密度が高く下降する特徴があります。

この法則によって熱上流気流利用し、室内温度より少し低い温度の空気を低速で吹き出すことによって、厨房内温度の異常な温度上層を抑えることが良好な空気質の提供が可能になります。

このようなシステムが厨房内環境を大きく改善し、厨房機器からの熱気を効率よく排気出来る為、冷房設定温度をそれほど下げなくても、作業環境が快適になります。

また、厨房内温度上昇を抑制することにより、食材が劣化しにくくなり、衛生管理に適した環境を実現することが出来ます。

そして、厨房内の温度が高くなりすぎないことから、スタッフが健康に働くことが出来る環境が整います。

空気を低速で吹き出すことから、気流を感じさせなく、静穏な環境での作業が可能となります。




 

働く環境の改善

調理排気の捕集率が極めて高く、空調排気を大幅に削減します。これによってランニングコストを抑えることが出来るのです。

従来の空調システムでは、調理の状況に関係なく、排気の吸排気ファンがフル稼働でした。

置換喚起システムでは、厨房機器の状況に合わせて換気量を制御します。

大きな省エネを実現しながら快適を損なわない環境は、働くスタッフにとっても快適です。

 

エアコンの電気料の節約にも

エアコンの設定温度をある程度温かく設定することによっても電気代を節約することが出来ます。

実は、エアコンの電気代は、室内温度から設定温度までの間の時が一番多くかかると言われます。

特に夏場の厨房は40℃では済まされない暑さであり、その暑さを下げる為に最低温度に設定する為、室内温度と設定温度の差が大きくなります。

ところが、置換喚起空調システムでは、そこまで厨房内温度が暑くならず、エアコンの設定温度をそれほど下げる必要もない為、エアコンの電気代の観点からも置換喚起システムはランニングコストを抑えるのです。

 

飲食業界は資金繰りがシビア

外食産業は資金のやり繰りが大変な業界です。特に飲食店においては資金繰りが厳しく、人件費と原材料費を合わせたFLコストを60%より低く抑えていかないと赤字を出す恐れがあります。

かといって、下手に光熱費を節約してしまうと、作業環境の悪化や衛生管理の点で問題が発生します。

外食産業がテイクアウト方式かレストランのようなイートイン方式によってかかる光熱費は異なりますが、5~7%が相場と言われます。

設備投資には当然予算が伴いますが、ランニングコストを抑えることは、逼迫した経営状態を少しでも緩下することが可能ではないかと思います。

 

まとめ

厨房における最大の問題点である劣悪な環境改善に、置換喚起システムは貢献してくれます。

作業環境が快適だと、働くスタッフのモチベーションが高まります。

本来仕事は楽しく行うものです。

それは、働くスタッフ同士が建設的な意見を交わしながらサービス向上に繋げ、いかにお客様を喜んでもらえるか、検証を重ねていくことだと思います。(これは実際に中々実現し難いところでありますが)

そして、一番大切なのは、働く人が健康な状態で仕事に従事出来ることです。

特に最近では厨房機器業者は、人出不足や作業環境改善に特化した機器の開発に励んでおります。

食品業界は変化の著しい業界でもありますので、新しい情報を得る為のアンテナを張ることが必要でしょう。

 
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