冬至に南瓜のいとこ煮を食べることは栄養学的に理に適っている?

「南瓜のいとこ煮」と南瓜と小豆の煮物のことをいいます。

南瓜のいとこ煮は発祥地域によって内容が異なり、地域によっては根菜や油揚、小豆を煮たものを指す場合があります。

ここでは南瓜と小豆で煮たいとこ煮について執筆します。






 

冬至とは

南瓜のいとこ煮は冬至の定番料理です。

南瓜は「冬至の七草」の一つであり、南瓜(なんきん)のほかに人参(にんじん)、蓮根(れんこん)、金柑(きんかん)、銀杏(ぎんなん)、寒天(かんてん)、うどん(うんどん)が挙げられます。

この7つの食材に共通することは「ん」が付くことです。

なぜ「ん」が付いているのかと言うと、冬至は1年のうち最も日照時間の短い日になります。

見方を変えれば「これから日照時間が長くなる日」とも言えます。このことから太陽がよみがえる日であり、運が上がっていく日として縁起を担ぐ意味で「ん」が付く食べ物を食べる習慣が出来たそうです。

 

いとこ煮の由来

いとこ煮は北陸地方、山口県、奈良県の郷土料理です。南瓜と小豆で煮るいとこ煮は奈良県が発祥の地です。

北陸のいとこ煮はごぼうや大根、人参の根菜類に油揚げやこんにゃくを加えます。これを「追々煮る」を「甥々」とかけて「いとこ」と名付けられた説があります。

この追々煮た根菜や油揚げに別の鍋で煮た小豆を更に加えて煮ます。

根菜等と小豆を別々に煮て調理することを「銘々煮る」といい、この「銘々煮る」が「姪々」とかけて「いとこ」と名付けられた説もあります。

 

南瓜のいとこ煮の効能とは


実は冬至に南瓜のいとこ煮を食べることは理にかなっているのです。

南瓜

南瓜は夏野菜ですが、冷暗所で保存すると長期保存が出来ます。

南瓜の果肉の橙色は体内でビタミンAに変化させる橙系の色素成分プロビタミンAによるものです。

このプロビタミンAはウィルスを寄せ付けないように皮膚や粘膜を強化し、感染症を予防する効果があるため、風邪や肺炎の症状を和らげる役割もあります。

これが「冬至に南瓜を食べると風邪をひかない」と日本では昔から言われているように、感染症が流行り出す冬至の時期に食べると感染症予防の効果が期待できるのです。

このようなことによって緑黄色野菜が少ない冬場まで残しておいた南瓜を食べることで厳しい寒さを乗り越え栄養を補ってきた昔の人の知恵が活かされています。

さらにプロビタミンAは強い抗酸化作用によって目の黄斑変性予防やがん予防など期待されています。

小豆

小豆は「赤い色」が邪気を払うとされていました。小豆には食物繊維が多く含まれ、肥満や便秘予防に大いに役立ちます。

またビタミンB1も多く含まれ、クエン酸回路にてブドウ糖をエネルギー変換させるのに役立っております。

このビタミンB1が不足していると乳酸が体内に残り、乳酸が蓄積してしまうと疲労を感じ、エネルギー不足となってしまいます。

またビタミンB1によって脳を動かすエネルギーとなるため、怒りの感情、集中力の欠陥をコントロールすることによって心の安定を図ります。

更にビタミンB2の粘膜生成効果によって口内炎や皮膚荒れを予防します。

その他肝機能の保護、コレステロール値のコントロール、貧血予防、疲労回復、免疫力アップなど沢山の役目も持っています。

また、小豆にはサポニンが含まれ、冷えの原因となる水分を排出する働きもあります。



 

まとめ

南瓜のいとこ煮の材料である南瓜も小豆もこうして見るとどちらとも寒い季節に適した成分を含む食材であり、栄養価の高い食べ物であることが伺えます。

感染症予防効果に期待があり、身体を温める料理だからこそ、更に寒い冬を乗り越えるための準備手段として、当時に南瓜のいとこ煮を食べることは理に適っているでしょう。

 
栄養相談、サポート詳細
 

関連記事

最近の記事

  1. 大豆の大量摂取が甲状腺に影響を及ぼす…ゴイトロゲンとは?

  2. 強い抗酸化作用が秘められる「チコリ酸」

  3. いくら食べても太らない…隠れ肥満とサルコペニアのリスクの低減を図るには?