食品殺菌や調理器具等の洗浄・除菌に役立つ電解水は、「大量調理施設衛生管理マニュアル」の基準を実施出来るように開発されています。
電解水を作る為の電解水生成装置は、食塩水を電気分解し、酸性電解水とアルカリ性電解水の2種類の電解水を生成し、それぞれの電解水が洗浄、殺菌、消毒、下処理において効果を発揮します。
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酸性電解水
酸性電解水は食品を殺菌する時に用いられる次亜塩素ナトリウム液の代わりとして用いられ、安全性やコスパ、時間短縮に優れています。
節水効果
プラス電極側に生成された「酸性電解水」は、殺菌力の高い次亜塩素酸を多く含んだ除菌効果のある電解水です。酸性電解水は食品の殺菌・消毒、調理器具の除菌に利用されます。
通常の次亜塩素酸ナトリウムと比較すると、酸性電解水による次亜塩素酸(HCIO)は次亜塩素酸ナトリウムに多く含まれる次亜塩素酸イオン(CIO⁻)に比べ、低い濃度でも高い殺菌力を発揮します。
処理速度では酸性電解水による消毒では約10~60秒、次亜塩素酸ナトリウムでは約5~10分かかります。つまり、殺菌スピードに差があるのです。
消毒後、オーバーフローしながら水を濯ぐ時間が、酸性電解水では1分で済むところ、次亜塩素酸ナトリウムでは10分かかります。例えば施設等で大量調理を行う場合、このオーバーフローで使用する水の量は酸性電解水では8ℓ、次亜塩素酸ナトリウムでは80ℓ使用します。
それぞれ、一つの食材の殺菌消毒の作業時間と使用水量の違いを比べると、酸性電解水ではトータルで時間が24.5分、水量130ℓとなり、次亜塩素酸ナトリウムでは時間が30分、水量が192ℓとなります。これが何度にも渡るため、電解水生成装置は節水効果があることが分かります。
塩素臭を残さない
また、酸性電解水は残留性が低い為、塩素臭が残りやすい次亜塩素酸ナトリウムと違い塩素臭が残らない為、食品のおいしさを守りながら殺菌することが可能です。
更に酸性電解水は、有機化合物などの副生成物が発生しにくい為、トリハロメタンの発生を抑えることが可能です。
一方、次亜塩素酸はアルカリ性なので、トリハロメタンの発生を起こしやすく、食材の品質を落としやすくしてしまいます。
料理に活用
酸性電解水は料理にも活用することが出来ます。例えばうどんをこねて作る時に酸性電解水を使うと、水道水よりコシの強い麺が出来上がります。
すし飯を炊く時は、米を研ぐ時は炊飯する時に酸性電解水を使うと、米の白さがアップしてネタを鮮やかに見せることが出来ます。
アルカリ電解水
一方、マイナス電極側に生成された「アルカリ性電解水」は、蛋白質の溶解や、油脂を乳化させる力を持った「洗浄効果」を持っています。
旨味や抗酸化作用の強化
アルカリ性電解水には、調理の場で様々な効果を発揮します。例えば湯豆腐の出来上がりの重さを増やす働きや、昆布やかつおのだしをとる時に旨味を強めたり、コーヒーを入れるときに使用すると、味わい深くポリフェノールが沢山のコーヒーが出来上がります。
ポリフェノールの抗酸化作用でアンチエイジングを期待している人にとって、とても嬉しい機能であります。
食材軟化
アルカリ性電解水には食材を軟化させる働きがあり、重層のアルカリ性を活用して軟化するのと同じ原理で働きます。
例えば、エビやイカに下味を付ける時にアルカリ電解水を活用すると、蛋白質分解作用によって軟らかくなり、プリプリ感が増します。
また、肉や魚の下処理に使うと摂食嚥下リハビリテーションの学会分類やユニバーサルデザインフード、スマイル食の嚥下スケールの「歯茎で潰せる硬さ」「容易に噛める硬さ」に仕上がります。
野菜類の軟化では、特に緑色の野菜に適しており、重層水で茹でることによって筋による硬さの問題が解消され、緑色の鮮やかさが増すという一石二鳥の効果があります。
つまり、高齢者や障害を持った方への料理に活用することも出来るのです。
酸性かアルカリ性かで料理の仕上がりにも違いがある
酸性電解水かアルカリ性電解水のいずれを使うかで、料理の仕上りが異なります。
例えばお米の場合は酸性電解水を使用するとさっくりと仕上がり、白さがアップします。見た目としては寿司やおにぎりに適しています。
料理としてはピラフやパエリア、チャーハンに向いていると言えるでしょう。
アルカリ性電解水を使って調理すると、軟らかく粘りのある御飯に仕上がります。白飯やおこわ、赤飯に向いていると言えます。
また、手作りパンを作る時に酸性電解水を使うと弾力性がアップし、アルカリ性電解水を使うときめの細かいパンが出来上がります。
衛生管理にも活用出来る
酸性電解水とアルカリ性電解水は包丁、まな板等の器具の洗浄・消毒の他、ふきんやスポンジの洗浄・消毒、清掃にも役立ちます。
器具については、最初は強アルカリ性電解水で洗浄します。
つまり、アルカリ性電解質の油脂乳化作用によって食品汚れを落とすことから始めます。
その次に強酸性電解水で濯ぐことによって消毒します。最後に流水ですすぎ、水気をふき取ります。
ふきんは最初にアルカリ性電解水で洗浄し、固く絞った後に酸性電解水を流しながらもみ洗いをします。その後、ふきんを固く絞り乾燥します。
床の清掃は、掃き掃除後にアルカリ性電解水を使ってデッキブラシをかけ、次に酸性電解水とアルカリ性電解水を1;1で混合した液で洗い、最後に流水で濯いでワイパーで掻きます。シンクのトラップは、酸性電解水とアルカリ性電解水1:1の混合液を用いて流した後、水道水でよく濯ぎます。
つまり、電解水生成装置を使うと使用する消耗品が食塩だけとなるので、洗剤や漂白剤にかかるお金を節約することも出来ます。
感染病予防に期待も
この他に、酸性電解水はインフルエンザ等の感染症予防に役立ち、アルカリ性電解水は無農薬で安全な野菜作りに役立てる他、葉に出来る「うどんこ病」の予防効果があったとの報告もあります。
まとめ
電解水生成装置を自宅で購入することはあまり現実的ではないかもしれませんが、アルカリ水の代わりに重曹を用いて食材を軟化することも出来ます。
最近ではスーパー等でも電解水が売られています。
今まで頑固な油汚れは洗剤でしか洗うしかありませんが、臭いが気になる魚の脂汚れもしっかり落とせるのも嬉しいです。
そして洗剤を使うより水質汚濁を軽減させられます。エコロジー的な観点からみても、洗剤や漂白剤を使うより電解水の方が遥かに環境に優しいと言えます。
ただ、食用ではないので、電解水をそのまま口にしないようにしましょう。